2019.7.10
, EurekAlert より:
マウスを用いた実験から、正常な筋肉の大きさと強度には、ビタミンDによるシグナル伝達(細胞どうしの通信)が必須であることが明らかになった。豪ウエストミード医学研究所の研究。
研究チームは、筋肉細胞のみでビタミンD受容体が欠損しているマウスは筋肉が小さく、強度も低いことを発見した。これらのマウスはまた、正常マウスに比べて走行速度を著しく遅かったという。
責任著者のガントン教授は次のように述べている。「ビタミンD不足が筋肉の脆弱性や転倒・骨折と関連することはずっと前から知られていました。しかしながら、ビタミンDが筋肉に直接的な役割を持つかどうかはわかっていなかったのです。
私たちは、正常な筋肉にはビタミンD受容体が少量存在すること、また、筋肉細胞のビタミンD受容体を削除すると筋肉の機能に重要な影響を与えることを発見しました」
教授は、全身のビタミンD受容体が欠損したマウスを調べた、自身の過去の研究と比較して、今回の研究ではいくつかの重要な違いが強調されたとしている。
「筋肉細胞のビタミンD受容体を欠損したマウスは、通常の体型ではあるものの筋肉量が少なく、脂肪量が多いことがわかりました。
ケージの中で回し車の上を走らせた場合、このマウスたちは走行距離が短く、速度も遅かったのです。これらはより低い筋肉量と脂肪の増加につながったかもしれません。筋力の面では、非常に若いうちから著しく握力が低いことがわかりました」
今後さらなる研究が必要だが、今回の結果は、筋肉の正常なビタミンDシグナル伝達を維持することが、筋肉の大きさと機能を維持するために重要であることを示唆する、と教授は述べている。
「今回の知見は、筋細胞のビタミンD受容体を標的とする新しい治療法への道を切り拓く可能性を秘めています。これらの治療法は、加齢性のサルコペニア(骨格筋量の退行性低下)やその他、筋肉機能に関連する障害に対処したり、予防するのに役立つでしょう」
出典は『悪液質、サルコペニア及び筋肉雑誌』。 (論文要旨)
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