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[高齢者]  低炭水化物ダイエットは高齢者の認知機能を少しだけ改善するかも
2019.7.2 , EurekAlert より:   記事の難易度 1
  

軽度認知障害のある高齢者14名の対象にしたパイロット研究で、米国ジョンズホプキンズ病院の研究チームは、高脂肪、低炭水化物ダイエットが脳の機能と記憶を改善するかもしれないと報告した。

研究チームは、27名の軽度認知の患者を集めて、12週間の介入研究を実施した。最後まで完了したのは14名だけだった。参加者の平均年齢は71歳で、半数が女性、一人を除いて全員が白人だった。

実施に当たって、参加者にはひとりずつパートナーが設定された(通常は配偶者であった)。パートナーは、参加者に12週間にわたって2種類のダイエットのうち1種類を実施させる役目があった。

9名は改変アトキンスダイエット(炭水化物を1日20g以下にして、総摂取カロリーは制限なし)とした。典型的な米国人の食事には、炭水化物は1日200-300g含まれるのが普通である。残りの5名の参加者は、国立加齢研究所ダイエットを実施した。これは地中海型ダイエットに似たもので、炭水化物の制限はなく、果物、野菜、低脂肪または無脂肪乳、全粒穀物、魚肉や鶏肉が豊富に含まれる。

参加者とパートナーは、食事日記をつけるように指示された。ダイエットの開始前には、改変アトキンスダイエットに割り当てられた者は、平均1日158gの炭水化物を摂取していた。ダイエット開始6週間後には、1日38.5gまで低下し、さらに9週目まで低下を続けたが、20gには到達せず、その後の上昇して12週目には53gになった。国立加齢研究所ダイエットに割り当てられた者は、期間中ずっと1日100g以上の炭水化物を摂取していた。

参加者は、開始時と3週目ごと、終了時に尿検体を採取された。ケトン体の濃度を測定するためであった。改変アトキンスダイエットの実施者の半数以上で、6週目までにケトン尿がみられ、終了まで継続した。国立加齢研究所ダイエットの実施者にはケトン尿はみられなかった。

参加者は、モントリオール認知機能評価、ミニ精神状態検査、臨床認知症評価尺度を開始時に実施した。開始時と6週目、12週目に神経心理学的記憶検査を受けた。6週目の試験で、研究チームは、記憶検査が有意に改善したことを発見した。この時期がケトンの排泄が最も高く、炭水化物の摂取量が最も少なかったという。

遅延想起検査(数分前に聞いたこと示されたことを思い出す)の結果を比較したところ、厳密に改変アトキンスダイエットを実施していた者で平均2ポイント(総合スコアの15%)高かったが、きちんと実施出来なかった者では平均2ポイント低下した。

研究チームによれば、最大のハードルは極端な食事の変化を続けることが難しく、それを支えてくれるパートナーを見つけるのも難しいことであるという。研究の後半、炭水化物の摂取量が増えてきたのは、ダイエットの食事が次第に口に合わなくなってきたためではないかと推察している。

出典は『アルツハイマー病学雑誌』。 (論文要旨)      
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