2019.2.7
, EurekAlert より:
就寝時間が夕食後2時間以内となる日が週3回以上あっても、その後の血糖値には影響しないようだという。岡山大学の研究。
寝る直前の食事や間食を控えることは、長期的に健康に良いと考えられる。日本では、摂食から就寝までの間隔が2時間以内となってしまう日を1週間に3日までとすることが推奨されている。
今回の結果はそれに反するものとはなったものの、研究者らは、高血糖と関連する糖尿病や心臓病などの「生活習慣病」リスクを避けるためには、十分な睡眠をとり、体重、飲酒、喫煙を控えめにすることを勧めている。
日本の特定健診・保健指導において質問・保健指導項目の一つに「夕食後2時間以内の就寝が週3回以上あるか」があるが、この背景に明確な根拠はない。そこで岡山大学の芳我ちより准教授らの研究チームは、食後2時間以内の就寝による、HbA1c(平均血糖値の尺度)レベルに対する長期的な影響を評価することにした。
対象者は2012年、2013年、2014年に岡山県のある都市で特定健康診断を受けた、糖尿病でない健康な中高年1573人とした。このうち3分の2が女性、3分の2が65歳以上だった。
分析にあたってはHbA1c、食後2時間以内の就寝が週3回以上あるかどうか、のほかに、年齢、性別、血圧、および脂質・コレステロール・肝機能等の血液データ、喫煙、飲酒、1年に3kg以上の急激な体重増加の有無、朝食欠食等の生活習慣データを用いた。
結果、食後2時間以内の就寝が週3回以上の人は男性83人(16%)および女性70人(7.5%)だった。
ベースライン時の状況を男女間で比較したところ、ほとんどの項目において、男性より女性の方が健康的であることが示され、HbA1cの値は経年的に上昇傾向だったものの、顕著な上昇がみられた人は翌年、減少傾向にあった。そのため、平均値は2年目と3年目で大きな差は認められなかった。
夕食後2時間以内の就寝が週3回以上あることは、2年後のHbA1cの値に有意な影響を与えないことが示唆された。一方で、むしろ体重(BMI)、血圧、血中中性脂肪、身体活動レベル、喫煙および飲酒といった因子の方がHbA1cレベルの変化とより強く関連しているようだったとのことだ。
この研究は観察研究であり、因果関係を証明するものではないが、一般常識を疑う必要性があることを示しており、今後、さらなる研究が求められている。
出典は『BMJ栄養、予防、健康』。 (論文要旨)
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