2018.2.12
, EurekAlert より: ![記事の難易度 1](../n_images/muzu1.jpg)
肥満したり、ダイエットしたりすると身体のカロリー消費量が低下するメカニズムのひとつが明らかになった、という米国カリフォルニア大学サンディエゴ校からの研究報告。
研究チームは、TANK結合キナーゼ1(TBK1)という酵素が、エネルギー消費を調節する、つまりカロリーを燃焼させる、鍵となる因子であることを発見した。
マウスを用いた動物実験モデルにおいて、第一のフィードバックループが観察された。つまり、肥満が引き金になる慢性ストレスが、NFKB経路の活性化を通じて炎症を起こし、この経路には、TBK1を含む炎症と肥満に関連する遺伝子が含まれている。TBK1が活性化されると、AMPKというエネルギー消費の主調節因子のひとつが停止する。そうして細胞がカロリーを燃やす能力が低下し、脂肪の貯蔵が起こる。これが、肥満がエネルギー消費を抑えるメカニズムである。
酵素AMPKはまた飢餓時のエネルギーレベルの変化を感知して、脂肪細胞を燃焼させてエネルギー消費を増加させる。飢餓がAMPKを活性させると、TBK1が誘導される。それが上述のように最終的に、AMPKの脂肪燃焼における役割を阻害するのである。
TBK1は第二のフィードバックループが存在する。NKFBはTBK1を誘導するが、TBK1はめぐりめぐってNFKBを阻害する。TBK1の活性化は通常炎症を抑制するが、完全にそれを排除しない。低下させるだけである。TBK1がなければ炎症は増加する。
肥満マウスでTBK1が欠如すると体重が減少し、炎症が増加するが、正常体重のマウスでは何も起こらない。これは、なぜカロリー制限が炎症を減らすかを説明する。
「TBK1の阻害は、肥満状態におけるエネルギーバランスを脂肪燃焼能力を促進することによってリストアする可能性をもっている」と主任研究者のアラン・サルティール博士は語っている。
出典は『細胞』。 (論文要旨)
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