厚生労働省は、避難所において食事を提供する際の計画・評価のために当面の目標とするべき栄養の参照量を公表した。 これは、被災後約3ヶ月頃までの段階で欠乏しやすい栄養素について算定した値である。
避難所生活における必要なエネルギーおよび栄養量の確保を目指し安定的に食料供給および食事提供を行うための食品構成例を示した。実際の提供には、対象者の性別、年齢、身体状況、身体活動量等を考慮して弾力的に活用することが望ましい。
避難所における食事提供の計画・評価のために当面目標とする栄養の参照量(厚生労働省)
(1歳以上、1人1日当たり)
エネルギー |
2000kcal |
たんぱく質 |
55g |
ビタミンB1 |
1.1mg |
ビタミンB2 |
1.2mg |
ビタミンC |
100mg |
※日本人の食事摂取基準(2010年版)で示されているエネルギー及び各栄養素の摂取基準値をもとに、平成17年国勢調査結果で得られた性・年齢階級別の人口構成を用いて加重平均により算出。なお、エネルギーは身体活動レベルT及びUの中間値を用いて算出。
避難所における食品構成例(国立健康・栄養研究所)
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単位:g |
穀類 |
550 |
芋類 |
60 |
野菜類 |
350 |
果実類 |
150 |
魚介類 |
80 |
肉類 |
80 |
卵類 |
55 |
豆類 |
60 |
乳類 |
200 |
油脂類 |
10 |
注)この食品構成の例は、平成21年国民健康・栄養調査結果を参考に作成したものである。
穀類の重量は、調理を加味した数量である。
さらに、食品構成の具体例を示した。被災地での食料支援物資の到達状況やライフラインの復旧状況を鑑み、下記の2パターンを仮定した。
パターン1:加熱調理が困難で、缶詰、レトルト、既製品が使用可能な場合。
パターン2:加熱調理が可能で、日持ちする野菜・果物が使用可能な場合。
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避難所における食品構成具体例(国立健康・栄養研究所) |
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水(水分)を積極的に摂取するように留意する。
※1:「一日当たりの回数」を基本に「食品例」の●を選択する。
例えば、穀類で「一日当たりの回数」が3回であれば、朝:●ロールパン2個、昼:●コンビニおにぎり2個,夕:●コンビニおにぎり2個、といった選択を行う。
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避難所等への食料供給に際しては、食品の種類や量の目安を参考に、それぞれの食品群が偏らずに配送されることが望ましい。また、食料が配送された避難所等においては、量の目安や一日当たりの回数を参考に、提供する食事への配分や組み合わせを決定することが望ましい。
特に、肉、魚、野菜、果物等が不足しないようにできる限り留意する。また、菓子パンや菓子類は、災害直後の食料確保が十分でない時期のエネルギー補給には活用できるが、長期間の活用に際しては、摂取過剰に留意する必要がある。
作成協力:平成23年度 厚生労働科学研究費補助金 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業 「日本人の食事摂取基準の改定と活用に資する総合的研究(研究
代表者 徳留 信寛)」活用研究班
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