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一般企業の管理栄養士をしております。

36歳以上の従業員に食事はバランスよくたべましょうということを踏まえて、エネルギー比率の話をしようと思っています。

炭水化物から50?70%・脂質から20?25%・たんぱく質は残りのエネルギーというような内容です。

炭水化物を多く取ると、血糖値や中性脂肪などが高くなるとのエビデンスがあるのは、知っていますが、主食をきちんと食べましょうという意図でエネルギー比率の話をしたいと思っています。

質問は2点です。

1.エネルギー比率がこのようになっている根拠はありますでしょうか?(栄養士でない上司より、炭水化物が30%になるとどうしてだめなんだと聞かれあいまいな返答しかできませんでした。)

2.炭水化物・脂質・たんぱく質を各々エネルギー比率100%とし、他の食品をとらなかった場合はどうなるのでしょうか?<br />そのようか文献などありましたら、教えていただけると幸いです。

よろしくお願いいたします。
Requested and Answered by ゲスト on 26-Jan-2012 14:47 (1395 reads)
回答が大変遅くなり、失礼いたしました。

エネルギー比率で適正量を考える場合、
・1日に○gあるいは体重あたり○gなど絶対量での必要量があるが、エネルギー比率にすると全体の摂取エネルギー量に影響される。
・どれかのエネルギー比率を変えると、他のエネルギー比率が変わる。(脂肪のエネルギー比を高くすると、たんぱく質または炭水化物のエネルギー比率が下がる等)
という点から判断が難しくなります。
ですので、エネルギー比率で目標を考える場合、絶対量として体に不足がおきないか、全体のエネルギー摂取量はどうなっているか、炭水化物・脂質・たんぱく質のそれぞれが適正な範囲にあるかを考慮することが必要です。

1つ目のご質問の適正なエネルギー比率の根拠としては、以下のことがあげられます。

エネルギー比率の考え方の詳細な記述は、アメリカの食事摂取基準では、かなり丁寧に多くの論文が検討されています。ただし、アメリカの食事摂取基準においても、エネルギー比率で示す場合は、他の栄養素の摂取によって左右されることから、「許容できる主要栄養素の分布の範囲」として示されています。

たんぱく質…50?69歳男性(身体活動レベル?)とすると、推定エネルギー必要量は2,450kcalとなります。たんぱく質の推奨量は60gであり、これをエネルギー比率とすると9.8%となります。けれども、通常の食品を使用した食事では、最低でも15%程度のたんぱく質エネルギー比がないと献立を組むことは困難になります。上限については、日本の食事摂取基準でも耐容上限量を定めていません。過剰摂取の害については、いくつかの研究もありますが、結果が一致していません。

脂肪…食事摂取基準において示されている目標量が、各種の研究から生活習慣病のリスクを低減し、さらに必要な脂肪量をとるための値となっています。

炭水化物…ご質問では、炭水化物と脂質の適正エネルギー比率を示して、たんぱく質を残りとされていますが、日本の食事摂取基準では、脳のエネルギー源として最低の炭水化物の必要量を1日100gとして、脂質とたんぱく質の目標量を考慮した残りのエネルギー比率で、炭水化物の最低必要量を満たすことが可能という手順から、エネルギー比率で50?70%と設定しています。アメリカの食事摂取基準における解説では、炭水化物のエネルギー比率の最低ラインについては、エネルギー密度(一定の重量あたりのエネルギー量)が高い食品は肥満のリスクファクターであり、そのため炭水化物のエネルギー比が小さい(45%未満)食事は肥満のリスクファクターになるとしています。一方で、最大ラインについては、冠動脈心疾患のリスクを増すとして、65%を超すエネルギー比率は勧められないとしています。肥満の治療食としては、炭水化物を減らした食事方法について、近年、多く研究されています。Hiteらのレビュー(Nutr Clin Pract 2011;26:300)では、炭水化物を減らした食事方法を以下のように分類しています。(1)炭水化物減少食(1日に130g以上、エネルギー比率で45%まで)、(2)低炭水化物食(1日に30?130g)、(3)超低炭水化物食(1日に30g未満)これらの炭水化物を極端に減らした食事は、肥満の治療目的では、有効で安全としていますが、専門家の指導のない状態や日常の食事としては、他の栄養素を過不足なく摂取することが難しく、適さないと思います。

2個目の質問の炭水化物、脂質、たんぱく質のそれぞれをエネルギー比100%にする場合ですが、いずれの栄養素も摂取量をゼロとしてしまっては、身体の維持や健康の維持ができません。また、一般の食品のほとんどが、炭水化物、脂質、たんぱく質のすべてを含んでいますので、例えば脂質100%とするには、植物油ですべてのエネルギーをとる必要があり、その他の体にとって必要な栄養素をとることができなくなります。

栄養教育研究部
高田和子


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