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22 | 登山の消費カロリーの根拠となる文献を教えてください |
[ 運動 ]
Requested by ゲスト and Answered by ゲスト on 06-Oct-2009 15:54 (4742 reads)
”2010年度版の食事摂取基準に掲載されてある身体活動の強度の説明の欄で、メッツ値×1.1≒Afと書かれてあります。「≒」はどの程誤差があるのでしょうか?”
ここでのメッツやAfは、基本的に食事による産熱効果を除いたものであることをご承知おきください。つまり、1.1という値は、ほぼ仰臥位と立位での値の比によるものです。ある文献によると、これら2つの姿勢による違いは約7%ということですし、当研究所では、男女あわせると、ちょうど1.1でした。そのバラツキは、標準偏差で0.05程度(±0.05に入る確率は68%、±0.10に入る確率は95%)でした。
エネルギー代謝率を用いて計算した時に、
Af=エネルギー代謝率+1.2
としていたのは、一般に、食事による産熱効果も入れて含んでいためです。
現実的には、多くのメッツ値が、各活動時のエネルギー消費量を、
酸素消費量:3.5mL/kg/分、酸素1L=5kcal
として、体重を用いて計算されています。
実際には、3.5mL/kg/分は、性・年齢等でも変わるので、それほど厳密なものではありません。Afの方にも、誤差が入ってきます。
したがって、先の0.05という標準偏差より、バラツキが大きくなることは間違いないと思います。
”また、「推定エネルギー必要量」は、基礎代謝基準値と活動時間の結果は主に日本人とアジアのデータをもとに、METS表は海外だけのデータを使用して、組み合わせてを算出しているという認識で間違いないでしょうか?”
推定エネルギー必要量は、
・日本人を対象に、DLW法と基礎代謝基準値等から得られた身体活動レベルと
(DLW法と基礎代謝量を測定した、他の日本人の結果から、大きな問題がないことを確認)
・基礎代謝基準値と体重から推定した基礎代謝量
(基礎代謝基準値は、1950?1960年代のデータをもとにし、一部修正を加えてある)
から算定しています。
活動時間の表は、東京近郊の成人を対象に得られたDLW法と活動記録法の結果を照らし合わせてつくってあります(未発表データ)。
メッツ表は、欧米のデータに基づいてつくられたものです(日本人のデータは入っていません)。
以上のように、
推定エネルギー必要量の値そのものは、日本人におけるDLW等の結果に基づいて、それを推定するための方法論は、”別途”、様々なデータ(メッツ値表や活動記録など)から、理論に基づいてつくってあります。
国立健康・栄養研究所
健康増進プログラム
エネルギー代謝プロジェクトリーダー
田中茂穂
ここでのメッツやAfは、基本的に食事による産熱効果を除いたものであることをご承知おきください。つまり、1.1という値は、ほぼ仰臥位と立位での値の比によるものです。ある文献によると、これら2つの姿勢による違いは約7%ということですし、当研究所では、男女あわせると、ちょうど1.1でした。そのバラツキは、標準偏差で0.05程度(±0.05に入る確率は68%、±0.10に入る確率は95%)でした。
エネルギー代謝率を用いて計算した時に、
Af=エネルギー代謝率+1.2
としていたのは、一般に、食事による産熱効果も入れて含んでいためです。
現実的には、多くのメッツ値が、各活動時のエネルギー消費量を、
酸素消費量:3.5mL/kg/分、酸素1L=5kcal
として、体重を用いて計算されています。
実際には、3.5mL/kg/分は、性・年齢等でも変わるので、それほど厳密なものではありません。Afの方にも、誤差が入ってきます。
したがって、先の0.05という標準偏差より、バラツキが大きくなることは間違いないと思います。
”また、「推定エネルギー必要量」は、基礎代謝基準値と活動時間の結果は主に日本人とアジアのデータをもとに、METS表は海外だけのデータを使用して、組み合わせてを算出しているという認識で間違いないでしょうか?”
推定エネルギー必要量は、
・日本人を対象に、DLW法と基礎代謝基準値等から得られた身体活動レベルと
(DLW法と基礎代謝量を測定した、他の日本人の結果から、大きな問題がないことを確認)
・基礎代謝基準値と体重から推定した基礎代謝量
(基礎代謝基準値は、1950?1960年代のデータをもとにし、一部修正を加えてある)
から算定しています。
活動時間の表は、東京近郊の成人を対象に得られたDLW法と活動記録法の結果を照らし合わせてつくってあります(未発表データ)。
メッツ表は、欧米のデータに基づいてつくられたものです(日本人のデータは入っていません)。
以上のように、
推定エネルギー必要量の値そのものは、日本人におけるDLW等の結果に基づいて、それを推定するための方法論は、”別途”、様々なデータ(メッツ値表や活動記録など)から、理論に基づいてつくってあります。
国立健康・栄養研究所
健康増進プログラム
エネルギー代謝プロジェクトリーダー
田中茂穂
[ 運動 ]
Requested and Answered by ゲスト on 28-Aug-2010 11:16 (6324 reads)
体重kgの減少≒7000kcal
については、おおよそ以下のような背景になると思います。
・標準的な減量時において、
体重減少1kgの3/4(75%)が体脂肪、残りが除脂肪くらいである
(Forbes GB. Infl uence of nutrition. Human body
composition. Growth, aging,
nutrition, and activity. Springer-Verlager, New York,
1987: 209-247.)
・体脂肪kg=9450kcal
(1kg=9000kcalというのは、食事として摂った時に、
脂肪の平均的な吸収率(約95%)を考慮して得られた
数値(≒9450×0.95)ですが、
ここでは、食事としてではなく、体脂肪を利用するので、
吸収率を考慮する必要はありません)
・除脂肪の約20%がたんぱく質で、たんぱく質kg=5650kcal
以上より、体重kgの減量に相当するエネルギーは、
9,450×0.75 + (5,650×0.20)×0.25≒7,370 kcal
と計算できます。
ただし、
「標準的な減量時において、体重減少1kgの3/4が体脂肪、残りが除脂肪」
というのは、いくつかの減量実験の平均値から得られたものですが、
Forbes (1987)をみるとわかるように、
平均値自体もかなりばらついていますし、
それぞれの平均値の中で、さらに大きな個人間差があります。
そのため、あくまで、およその標準値と考えるのがよいと思います。
そうして考えると、
体重1kgの減量は7000kcalと考えても構わないでしょうし
(上記の計算で、75%ではなく70%とした場合、あるいは除脂肪の減少を無視すると、
7000kcal前後になります)、
米国では、1ポンドあたり3500kcal(→1kgあたり約7700kcal)
と計算する方が一般的です。
実際には、いろいろな研究者が、、
体脂肪1kg=9000kcalで計算したり、
除脂肪量の減少分を考慮しなかったりして、
結果的に7000kcal(+α)というおよその値を得ていることもあるようです。
国立健康・栄養研究所
健康増進プログラム
エネルギー代謝プロジェクトリーダー
田中茂穂
については、おおよそ以下のような背景になると思います。
・標準的な減量時において、
体重減少1kgの3/4(75%)が体脂肪、残りが除脂肪くらいである
(Forbes GB. Infl uence of nutrition. Human body
composition. Growth, aging,
nutrition, and activity. Springer-Verlager, New York,
1987: 209-247.)
・体脂肪kg=9450kcal
(1kg=9000kcalというのは、食事として摂った時に、
脂肪の平均的な吸収率(約95%)を考慮して得られた
数値(≒9450×0.95)ですが、
ここでは、食事としてではなく、体脂肪を利用するので、
吸収率を考慮する必要はありません)
・除脂肪の約20%がたんぱく質で、たんぱく質kg=5650kcal
以上より、体重kgの減量に相当するエネルギーは、
9,450×0.75 + (5,650×0.20)×0.25≒7,370 kcal
と計算できます。
ただし、
「標準的な減量時において、体重減少1kgの3/4が体脂肪、残りが除脂肪」
というのは、いくつかの減量実験の平均値から得られたものですが、
Forbes (1987)をみるとわかるように、
平均値自体もかなりばらついていますし、
それぞれの平均値の中で、さらに大きな個人間差があります。
そのため、あくまで、およその標準値と考えるのがよいと思います。
そうして考えると、
体重1kgの減量は7000kcalと考えても構わないでしょうし
(上記の計算で、75%ではなく70%とした場合、あるいは除脂肪の減少を無視すると、
7000kcal前後になります)、
米国では、1ポンドあたり3500kcal(→1kgあたり約7700kcal)
と計算する方が一般的です。
実際には、いろいろな研究者が、、
体脂肪1kg=9000kcalで計算したり、
除脂肪量の減少分を考慮しなかったりして、
結果的に7000kcal(+α)というおよその値を得ていることもあるようです。
国立健康・栄養研究所
健康増進プログラム
エネルギー代謝プロジェクトリーダー
田中茂穂
[ 運動 ]
Requested and Answered by ゲスト on 09-Feb-2010 16:14 (1805 reads)
【質問全文】
1日の身体活動量を求める場合に用いる活動時間の最も適当な計算の仕方を教えて下さい。 例えば、日常生活以外に、運動として週に3回のジョギング(120km)を30分、週に5回のヨガ90分、月に1回のゴルフ120分をしている場合の計算の仕方を教えて下さい。現在は期間平均時間を使用し、他の項目の時間を調整して算出しておりますが、この計算方法がスタンダードなのか不安になりました。
【回答】
ご質問にある「身体活動量」は、いわゆる”エクササイズ(メッツ・時)”でしょうか?以下、その前提で、話を進めます。
「期間平均時間を使用」
という考え方は、正しいと思います。
ただし、エクササイズの場合、3メッツ以上の活動を対象としますので、2.5メッツのヨガは含まれません。
そのため、週あたりの”運動”のエクササイズですと、
・ジョギングのメッツ値(120km?=?メッツ)×0.5×3÷7
・ゴルフのメッツ値(何種類かあります)×2×1÷7
の和になります。
ちなみに、ゴルフの場合、他の人のショットを待っている時くらいの休みを含む値です。
”身体活動”のエクササイズであれば、例えば、通勤や掃除など、日常生活における3メッツ以上の活動分を、更に加算します。
質問の意図を勘違いしていたら、申しわけありません。疑問等があれば、お手数ですが、再度ご質問ください。
国立健康・栄養研究所
健康増進プログラム
エネルギー代謝プロジェクトリーダー
田中茂穂
1日の身体活動量を求める場合に用いる活動時間の最も適当な計算の仕方を教えて下さい。 例えば、日常生活以外に、運動として週に3回のジョギング(120km)を30分、週に5回のヨガ90分、月に1回のゴルフ120分をしている場合の計算の仕方を教えて下さい。現在は期間平均時間を使用し、他の項目の時間を調整して算出しておりますが、この計算方法がスタンダードなのか不安になりました。
【回答】
ご質問にある「身体活動量」は、いわゆる”エクササイズ(メッツ・時)”でしょうか?以下、その前提で、話を進めます。
「期間平均時間を使用」
という考え方は、正しいと思います。
ただし、エクササイズの場合、3メッツ以上の活動を対象としますので、2.5メッツのヨガは含まれません。
そのため、週あたりの”運動”のエクササイズですと、
・ジョギングのメッツ値(120km?=?メッツ)×0.5×3÷7
・ゴルフのメッツ値(何種類かあります)×2×1÷7
の和になります。
ちなみに、ゴルフの場合、他の人のショットを待っている時くらいの休みを含む値です。
”身体活動”のエクササイズであれば、例えば、通勤や掃除など、日常生活における3メッツ以上の活動分を、更に加算します。
質問の意図を勘違いしていたら、申しわけありません。疑問等があれば、お手数ですが、再度ご質問ください。
国立健康・栄養研究所
健康増進プログラム
エネルギー代謝プロジェクトリーダー
田中茂穂
[ 運動 ]
Requested and Answered by ゲスト on 09-Feb-2010 16:22 (3971 reads)
【質問全文】
アスリートの食事と健康についての本を読み基礎代謝量の算出式に『基礎代謝量=28.5×除脂肪体重』と書かれていました。この28.5という数字について書籍の中には書かれておらず、また、自分のわかる範囲で調べてみたのですが明確な答えに結びつくものがなく疑問を抱えています。調べた中で、基礎代謝基準値という言葉に出会ったのですが、それとは違うと思いました。お手数でなければ回答のほうよろしくお願いします。
【回答】
28.5kcal/kg除脂肪量/日という数値ですが、国立スポーツ科学センター(JISS)が平成17?18年度(?)に行った、「スポーツ選手の栄養調査・サポート基準値策定及び評価に関するプロジェクト」に基づいて提示された数値です。
スポーツ選手のように、体格・体型が様々な対象でも推定できるよう、基礎代謝量と身体組成に関するデータが掲載されている論文を集めた結果、体重ではなく除脂肪量当たりで表現すれば一定になるということで、そのような値に決めたようです。
確かに、その報告書が広く出回っているわけではないので、根拠を調べにくいですね。
ただ、以下の中で、その点について多少なりとも解説があったはずです。
1.
トレーニング科学17巻4号
小清水孝子ら「スポーツ選手の推定エネルギー必要量」
2.
栄養学雑誌 64巻3号 研究情報ひろば
小清水 孝子ら「スポーツ選手の栄養調査・サポート基準値策定及び評価に関する
プロジェクト」報告
尚、「基礎代謝基準値」(kcal/kg体重/日)という単語は、日本の栄養所要量・食事摂取基準で長年にわたって使われており、今年5月に発表された「日本人の食事摂取基準(2010年版)」でも、性別・年齢階級別の値が提示されています。
28.5が除脂肪量当たりなのに対し、基礎代謝基準値は体重当たりの数値なので、後者の方が値が小さくなっています(成人の場合20.7?24.0)。
国立健康・栄養研究所
健康増進プログラム
エネルギー代謝プロジェクトリーダー
田中茂穂
アスリートの食事と健康についての本を読み基礎代謝量の算出式に『基礎代謝量=28.5×除脂肪体重』と書かれていました。この28.5という数字について書籍の中には書かれておらず、また、自分のわかる範囲で調べてみたのですが明確な答えに結びつくものがなく疑問を抱えています。調べた中で、基礎代謝基準値という言葉に出会ったのですが、それとは違うと思いました。お手数でなければ回答のほうよろしくお願いします。
【回答】
28.5kcal/kg除脂肪量/日という数値ですが、国立スポーツ科学センター(JISS)が平成17?18年度(?)に行った、「スポーツ選手の栄養調査・サポート基準値策定及び評価に関するプロジェクト」に基づいて提示された数値です。
スポーツ選手のように、体格・体型が様々な対象でも推定できるよう、基礎代謝量と身体組成に関するデータが掲載されている論文を集めた結果、体重ではなく除脂肪量当たりで表現すれば一定になるということで、そのような値に決めたようです。
確かに、その報告書が広く出回っているわけではないので、根拠を調べにくいですね。
ただ、以下の中で、その点について多少なりとも解説があったはずです。
1.
トレーニング科学17巻4号
小清水孝子ら「スポーツ選手の推定エネルギー必要量」
2.
栄養学雑誌 64巻3号 研究情報ひろば
小清水 孝子ら「スポーツ選手の栄養調査・サポート基準値策定及び評価に関する
プロジェクト」報告
尚、「基礎代謝基準値」(kcal/kg体重/日)という単語は、日本の栄養所要量・食事摂取基準で長年にわたって使われており、今年5月に発表された「日本人の食事摂取基準(2010年版)」でも、性別・年齢階級別の値が提示されています。
28.5が除脂肪量当たりなのに対し、基礎代謝基準値は体重当たりの数値なので、後者の方が値が小さくなっています(成人の場合20.7?24.0)。
国立健康・栄養研究所
健康増進プログラム
エネルギー代謝プロジェクトリーダー
田中茂穂