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マーガリンは身体に悪い?

【質問】
 マーガリンは細胞の働きをなくし、身体を伸ばす時あまり良くないと聞いたのですが本当ですか?


【解答】 
1)バターは牛乳から作られるため動物性の脂肪酸から出来ています。これに対してマーガリンは植物性の油脂を水素添加して作った加工油脂で動物性の飽和脂肪酸に似た性質を持っていますが、動物性の油脂よりできたバターより植物性油脂の加工品であるマーガリンの方が脂肪酸の組成からも体内の脂質バランスには良いと考えられます。ですから、細胞の働きをなくすということはないと思いますが。【JN】

2)1の回答は6年以前のものですので、少し補足しておきます。

 植物性脂肪であるはずのマーガリンの地位の転落は、ほとんどすべてのマーガリンに含まれる化学処理の過程で生成したトランス脂肪酸が原因と考えられます。トランス脂肪酸は牛の胃腸でも微生物が生成するので乳製品や牛肉にも含まれています。初期のトランス脂肪酸危険説は、トランス脂肪酸が合成の不自然な脂肪酸だからというもの(中には狂った脂肪酸という表現もありました。脂肪酸を「狂わせ」ることができたらノーベル賞ものですが)でしたが、牛にも普通に存在することが一般に広まってきた現在では、(もっともそれが理由ではないと思いますが)化学合成で生成した人工的なトランス脂肪酸だけが身体に悪いことになったようです(欧米では注意深い研究者はかならずそう注釈をつけるようになっています)。たとえばトランス脂肪酸の表示義務は、人工的なものに限定されています。

 むずかしい話はさておき、このトランス脂肪酸が細胞の動きをなくす張本人であるように一般には喧伝されていますが、飽和脂肪酸というのは、トランス脂肪酸よりさらに直線的な構造を持ち、それゆえさらに細胞の動きを少なくするという理屈になります(だから長い間、そして現在でも飽和脂肪酸を多く含むバターや牛肉は身体に良くないと言われてきました)。

 なぜかマーガリンが良くないという人が、バターもやはり良くないと教えてくれることは少ないような気がしますが、上記のような理屈ならば、どちらも良くありません。そこでパンには、オリーブ油を塗って食べることを推奨している研究者もいます。

 ただ、細胞の動きと身長の関係は意味がよくわかりません。特定の脂肪酸を多量に食べると身長が伸びなくなるということだというのはわかりますが、こういう因果関係の証明は通常かなり困難です。

【廣田晃一 情報センター、IT支援プロジェクトリーダー】


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