健康運動指導士、健康運動実践指導者とは

　運動を通じた積極的な健康づくりを進めるためには、科学的根拠に立脚した安全で有効な運動の指導が必要です。そのための人材として、健康運動指導士や健康運動実践指導者などが養成されています。


　運動を通じた積極的な健康づくりを進めるためには、科学的根拠に立脚した安全で有効な運動の指導が必要です。そのための人材として、健康運動指導士や健康運動実践指導者などが養成されています。健康運動指導士、健康運動指導者は、厚生労働省の健康増進指導者養成事業において養成されています。健康運動指導士は約１ヶ月間、健康運動実践指導者は約１０日間の講習会に参加し、いずれも講習会ののちに資格試験に合格した者に与えられるようになっています。


　健康運動指導士の役割は、治療の一環または競技のための運動指導を行うものではありません。呼吸・循環器系の生理機能（全身持久力または有酸素性能力）の維持、向上を図ることによって、糖尿病、高脂血症、高血圧、動脈硬化症、脳卒中などの生活習慣病（成人病）を予防し、健康水準を保持・増進するという観点から、医学的基礎知識、運動生理学の知識などに立脚しつつ、１人ひとりの健康状態や体力に応じて安全かつ効果的な運動プログラムの作成及び指導を行うことです。


　一方、健康運動実践指導者の役割は運動の実践指導です。健康運動実践指導者の具体的な指導内容は、健康運動指導士によって作成された運動プログラムを基に、１人ひとりの身体状況（健康状態・体力・技術水準など）に応じて、ジョギング、水中運動などの有酸素運動（エアロビクスエクササイズ）やストレッチング及び筋力・筋持久力トレーニングなどの補強運動の実践指導です。健康運動実践指導者は、指導技術に重点が置かれているため、健康運動指導士と比べて実技が重要視されています。【吉武裕】
　

(国立健康・栄養研究所編『第二版　健康・栄養-知っておきたい基礎知識-』第一出版、東京、2001収載。出版社の許可を得て転載)