基礎栄養プログラム

2.年度計画


a.脂質・糖代謝プロジェクト

●運動による肥満/糖尿病予防機序の解明

・運動は脂肪組織で脂肪分解(リポリシス)を亢進させ、遊離された脂肪酸は筋収縮に用いられる。運動トレーニング(運動を繰り返すこと)を行うと脂肪を燃焼し易い体質になる。これらの機序に交感神経の活性化やAMP-activated protein kinase(AMPK)がどのように関与しているか、トランスジェニックマウスを用いて明らかにする。


●肥満/脂肪肝発症原因別の食事療法の考案

・飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、砂糖、アルコールを多く摂取すると、脂肪肝や肥満を発症する。これらの機序は栄養素により異なる。一方、魚、お茶(カテキン)、大豆の摂取は脂肪肝や肥満を予防するように働く。これらの予防機序も食品により異なる。どのような機序で生じる脂肪肝・肥満に対して、どのような食品を摂取することが最適か明らかにする。


●エネルギー摂取制限及び栄養素欠乏時に於ける代謝変動の分子メカニズムの研究

・エネルギー摂取制限は主要な肥満治療法であり、小動物に於いては寿命を延長させる。一方、栄養素の欠乏は脳血管障害,皮膚炎、発育障害などを生じるおそれがある。これらの機序については殆ど研究が行われていない。このため、エネルギー摂取制限によって生じる脂質、糖質代謝の変化、 エネルギー消費量減少などの生体適応現象の機序及び臓器障害発症機序などを分子レベルで明らかにする。