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日本人の食事摂取基準(2010年版)の策定


【はじめに】

 本年5月、厚生労働省は、国民の健康の維持・増進、生活習慣病の予防を目的とし、エネルギー及び各栄養素の摂取基準を示した「日本人の食事摂取基準」を5年ぶりに改定・公表しました(https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/s0529-4.html)。

 食事摂取基準プロジェクトでは、この「日本人の食事摂取基準」の策定に必要な栄養学的知見を系統的、かつ網羅的に収集・管理・解読するとともに、その知見の創出に必要な基礎研究を行い、策定の効率化と質の向上に貢献してきました。

 今回は、昨年度から本年度にかけて策定作業が行われた「日本人の食事摂取基準(2010年版)」について紹介します。


【策定経緯】

 昨年6月、厚生労働省生活習慣病対策室の下に、策定検討会が設置されるとともに、エネルギー、各種栄養素等に、新たに活用及びライフステージ別(妊婦・授乳婦・乳幼児、高齢者)を加えた計11のワーキンググループが設置されました。6月24日に第一回策定検討会が開催されて以来、各ワーキンググループにおいて、摂取基準に関する検討・策定が行われました。当研究所からは、多数の研究員が策定検討会及びワーキンググループの委員や協力者として、策定作業に参画しました。

 当プロジェクトにおいては、レファレンス事務局を設置し、厚生労働省をはじめ所内外からの文献や関係資料の要請に応じ、提供を行いました。同時に、今後の策定における作業の円滑化、科学的根拠を明確にする目的から、実際の策定に使用した文献並びに参照した文献を登録、保管するシステムを構築しました。また、各ワーキンググループ間の調整業務や検討会報告書の取りまとめ、編集作業などについても、厚生労働省と協力して、当プロジェクトが担当しました。


【2010年版の主な改正点】

 2005年版からの大きな変更点としては、?「上限量」から「耐容上限量」への用語変更(図)、?活用基礎理論の項目別記載、?乳児の基準体位の細分化、?ライフステージ別の検討、があげられます。また、各基準の主な改正点は、?エネルギーの基礎代謝基準値や身体活動量の変更、?食物繊維については目標量のみを策定、?カルシウムについては、「目安量」、「目標量」に替えて「推定平均必要量」及び「推奨量」を策定、などです。


【今後の検討課題】

 現在、厚生労働省および国立健康・栄養研究所では、次年度からの「日本人の食事摂取基準(2010年版)」使用開始に向けて、食事摂取基準の活用、普及啓発の取り組みを開始しています。またレファレンス事務局では、次期改定時の作業を円滑にするための取り組みとして、今回の策定で直接引用または参照された論文を収集、データベース化を行い、論文の系統分類、エビデンステーブルの作成を進めています。

 種々の栄養素、特に高齢者に関しては未だエビデンスが不十分であり、今後も引き続き、日本人を対象とした栄養疫学研究によってデータを収集・蓄積する必要性が再認識されました。また、今回新たに導入された活用基礎理論は試行的なものであり、今後の研究を通じて検証が求められます。【栄養疫学プログラム/食事摂取基準プロジェクト】


関連研究論文

1) Melby MK. T.Utsugi M. Miyoshi M. Watanabe S: Overview of nutrition reference and dietary recommendations in Japan: application to nutrition policy in Asian countries.:
Asia Pac J Clin Nutr.: 17 (S2): 394-398, 2008

2) 森田明美、佐々木敏、渡邊昌:食事指導のための基礎知識 食事摂取基準:日本医師会編食事指導のABC(改訂第3 版):114-129,2008:日本医事新報社 日本人の食事摂取基準(2010年版)の策定栄養疫学プログラム/食事摂取基準プロジェクト3

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第8巻1号(通巻28号)平成21年6月15日発行から転載
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作成:2009/8/21 15:10:03 自動登録   更新:2010/3/9 17:05:56 自動登録   閲覧数:19662
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