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国内における健康機能食品の現状と動向

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 近年、食生活の乱れによる栄養の偏り、メタボリックシンドロームや生活習慣病の増加などを背景に、食品に対して単なる栄養素の補給機能と味覚を満足させる機能のほかに、体調調節に関する機能(三次機能)を求めるニーズが増えている。これに伴い、テレビや新聞、雑誌、本、インターネットなどから食品と健康に関する情報が多く発信され、市場には多種多様な健康機能食品(以下「健康食品」とする)が出回るようになって来ている。

 しかし、本来は健康に資するべき健康食品が、有害成分の混入や間違った利用法により、健康被害を起こした事例もある。食品に健康効果や保健機能を求めるのは国際的な動向であり、海外からも多くの健康食品が輸入されている。

 また、旅先から現地の健康食品を直接国内に持ち帰ったり、個人輸入代行を介して入手したりするケースも増えており、健康食品に係る問題はますます複雑になってきている。


 「健康食品」とは、広く、健康の保持増進に資する食品として販売・利用されるもの全般を指し、保健機能食品も含むものであり、「いわゆる健康食品」とは、「健康食品」から保健機能食品を除いたものであるとの考えが示された(図1)。基本的に、食品に対して身体の構造や機能に及ぼす効能・効果の表示は認められない。例外として、国が許可・承認している特別用途食品と保健機能食品については、限定された範囲内で機能等の表示が認められている。市場に存在している健康食品は、「いわゆる健康食品」に該当するものが多く、それらについては機能等の表示をすることが認めていない。

 行政側がこれまで行ってきた健康食品問題の対応策は、問題商品の摘発・公表という措置が主体であった。そのような対応は、短期の問題解決には効果的であるが、根本的な解決にはならない。その理由は、先ず消費者が問題のある商品を知って一時的に該当商品の購入・利用を控えても、時間が経てば忘れてしまうこと、また、問題を起こした該当商品そのものは市場から消えても、類似した商品がその後再び出現するという社会的な状況があるためである。

 もし、「健康食品」の安全性・有効性に関して正しい情報を早く、効果的に提供できれば、健康被害の未然防止に大きく貢献できる。そこで、健康食品を取り巻く多様な問題・課題を踏まえ、当研究所では健康食品等の安全性情報ネットワーク構築プロジェクトを立ち上げ、16年7月14日から「健康食品」の安全性・有効性情報」というウェブサイト(https://hfnet.nih.go.jp/)を開設して、健康食品等が関連する情報の本格的な提供を開始した(図2)。

 厚生労働省は健康食品の安全性を推進するため、錠剤・カプセル状食品の事業者等に対し、製造工程管理を通じた一層の品質の確保を図ろうとするGMP(適正製造規範)及び原材料の安全性を確保するための自主点検ガイドラインを提示している。国内では、現在、健康食品のGMP基準の遵守は行政側から明確に規制されていないが、最近、幾つかの民間団体がGMPの認可制度を実施している。【卓 興鋼】

 今後、米国FDAなど海外のGMP基準と、また国内各民間団体間の認証内容との整合性は課題となる。

出典:卓 興鋼, 梅垣 敬三, 渡邊 昌: 国内における健康機能食品の現状と動向. アンチ・エイジング医学―日本抗加齢医学会雑誌 4(1): 021-029, 2008

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第7巻3号(通巻26号)平成21年1月15日発行から転載
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作成:2009/1/27 16:41:17 自動登録   更新:2010/4/7 13:06:45 自動登録   閲覧数:3945
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