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妊娠前に葉酸を飲むのはなぜ良いか?

胎児の神経管欠損は母親の自己免疫疾患か?

 ニューイングランド医学雑誌の350巻(2004年)にローテンベルグらによる、「神経管閉鎖不全症を合併した妊娠女性の葉酸受容体に対する自己抗体」という論文が掲載された(Rothenberg, SP et al: Autoantibodies against folate receptors in women with a pregnancy complicated by a neural-tube defect. N Engl J Med, 350(2): 134-42 (2004))。

イギリスの長期的な疫学研究などの結果から、葉酸サプリメント(栄養補助食品)の服用には、胎児の神経管欠損の発生率を低下させる明らかな効果があると思われるが、病的な葉酸欠乏症というわけではない女性で、このような発生率低減効果が観察される理由はよくわかっていなかった。

 ラット(ねずみ)に抗葉酸受容体抗体を注射することで胎児に影響が現れることから、ローテンベルクらは、問題のある女性では、葉酸受容体に対する自己抗体(自分の体の成分に対する抗体)があるために、葉酸の機能が通常の摂取量では足りなくなっているのではないかと考えた。

 そこで、葉酸受容体を胎盤より精製し、これに対する自己抗体があるかどうかを患者及びコントロール血清で調べた。そして、自己抗体があると思われた患者血清が、本当に葉酸の受容体への結合を阻害しているのか、そのために細胞内の葉酸濃度が低下しているのかを検討した。

 結果は、普通の経産婦(コントロール群)では20人中2人にしかこの抗葉酸受容体抗体が検出されなかったのに対し、閉鎖不全症を合併した経産婦(合併群)では、12人中9人という高率で、この抗体が検出された。

 コントロール群の陽性2例は抗体価も低く、特異性はきわめて高いように見える。また合併群の陽性血清は、実際に葉酸受容体への葉酸の結合をコントロール群の血清に比べて有意に阻害している。さらに、細胞内への葉酸の取り込みを阻害していることも確認された。

 さすが、ニューイングランド、きれいな結果である。この結果が追試されれば、将来的には若い妊娠を予定しているすべての女性がこの自己抗体を測定することを希望するのは間違いないが、論文中で著者自ら指摘しているように、この自己抗体が妊娠前から存在したかどうかは、残念ながら、明らかではないのである。妊娠前の抗体検査が有効かどうかは、今後この自己抗体を測定した縦断的な研究を待たねばならない。
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作成:2004/1/9 13:18:33 自動登録   更新:2009/2/17 15:48:38 自動登録   閲覧数:5430
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