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ダイエット戦争:どう作戦を練るか

アメリカでは成人人口の61%が過体重で、肥満が深刻な問題となっています。肥満は循環器系の疾患や糖尿病など、いろいろな病気の誘引となりますので 適正な体重を保つのは健康的な生活を送る上で大切です。現在非常に多くのダイエット法が考案されていて、どれを選んでいいのか、迷ってしまうくらいですが、万人に効く決定的な方法はまだみつかってはおりません。

 様々なダイエット法のうち 科学論文で裏付けられた方法を解説してコメントしたハーバード大学医学部のオンラインジャーナルに掲載された記事 "Diet wars ?:How do the plans measure up?" ( https://www.health.harvard.edu/hhp/article/content.do?name=N0103a ) をご紹介します。 最後の方に出てくるウィレット博士はハーバードの教授なので、その辺はご注意を(割り引いて考えたほうが良いかも)。

はじめに 

 アメリカは科学技術、医学など多くの分野で世界のリーダー的地位を誇っているが、ウェストラインに関しては事が違ってくる。5人に3人、つまり61%が肥満なのである。全体として脂肪消費量は以前より減ったが個人個人が食べている実際量は減っていないし、生活の中で動くことも少なくなっている。3人に1人は常にダイエット中であり、年に330億ドルがシェイプアップに使われているが、大抵は失敗に終わっているようだ。そこでまず 二つの全く異なる方法を解説しよう。

超低脂肪ダイエット

 1960~70年代にオーニッシュ博士が 血中コレステロールこそが心臓病の原因であって、コレステロールは飽和脂肪酸とトランス脂肪酸の摂取で増えるので、脂肪を減らし、果物や野菜、食物繊維を含む食品を多くとる食生活を推奨した。この方法だと体重も減るので超低脂肪ダイエットはいつしか肥満対策のダイエットのように言われるようになった。

 このダイエット法は適度な運動を組み合わせると 明らかに心臓血管系の疾患に効果があり、LDLコレステロール(悪玉)が減るが、HDLコレステロール(善玉)も減ってしまい、人によってはトリグリセリドレベルが上昇してしまう。また自分で食生活の管理をするのも難しい。

超低炭水化物ダイエット

 アトキンスダイエット、ゾーンダイエット、シュガーバスターなどがここに分類される。 “アトキンス博士のダイエット革命”が出版されてかれこれ30年になり、ニューヨークタイムスで取り上げられたりして注目されているが、注意してみる必要がある。炭水化物を食べて吸収すると血糖値があがり、膵臓からインシュリンが分泌される。高インシュリンレベルは空腹をひき起こし、また炭水化物をたべてカロリーを摂取する。ここで炭水化物に対抗するのが脂肪である。もしアトキンス博士が正しければ、脂肪は満足感を与えてくれて、充足するので、高脂肪食の人はわずかな量を食べるだけで減量できるはずである。 これは魅力的なアイディアであるが、本当にアイスクリームを食べていて減量できるだろうか?

 驚くべきことに 超低炭水化物、高脂肪ダイエットの結果は歴史が長いにもかかわらず 客観的に評価したものがほとんどない。

果たして効き目は?

 アトキンス(超低炭水化物)ダイエットについて、2002年に行なった実験の論文によると、51人の肥満女性中41人が6ヶ月後に平均19.8ポンドの減量を達成した。また、別の低炭水化物・高脂肪ダイエットの論文でも12ヶ月で13%減量している。ただし、逆の、高炭水化物・低脂肪ダイエットはもっと多い18%を達成している。しかし、これらはしっかりした管理下での成功例で、何人の人々が失敗しているか知る由もない。成功した人は語りたがるのである。一時的な減量としては成功かもしれないが、その仕組みは、超低炭水化物ダイエットを行なうと、炭水化物の不足を補うため、体は自分の貯蔵している炭水化物を肝臓や筋肉からグリコーゲンとして排出する。この過程で水分も動員されて尿として排出されるので、結果として急速に体重が減るというわけである。おまけにLDL、HDL,トリグリセリド、ホモシステイン、フィブリノーゲンのレベルは悪化する。

 最初に体重が減るのはうれしいけれど、健康的でなく、結局継続できないのだ。アトキンスダイエットは発表されて以来30年もたったが、満足な減量が出来ない原因はここにある。

安全性は?

 アトキンスダイエットの有効性は証明されていないし、有害性も研究されてはいない。ただし、次のように考えられる。 アトキンスダイエットでは食物繊維も摂取はたいへん少ないが、食物線維といろんな病気の関係はよく知られたところである。果物・野菜の摂取もたいへん少ないが、果物・野菜は心臓病、脳卒中、痴呆、ガンのリスクを減らす。アトキンスダイエットではタンパク質の摂取がたいへん多いが、高タンパク質の取り込みからカルシウム欠乏となり、骨粗しょう症をひきおこし、腎臓結石を増やす。低炭水化物・高タンパク質の食事で、6週で尿中カルシウムが一挙に増えた報告がある。 オーニッシュ博士の説によれば脂肪は有害であり、アトキンス博士の説によれば炭水化物が有害だということになるが、そう単純なものではない。脂肪のうち飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロールの一種はいわゆる悪玉であるが、ω-3脂肪酸、キャノーラ油、オリーブ油、くるみ等ナッツ類の一価不飽和脂肪酸は善玉である。炭水化物については、速く吸収されてすぐ血糖値とインシュリンレベルを上昇さてしまう(“グリセリン インデックスGIが高い”と呼ぶ)単糖類、食品でいえば精製した小麦とか、精白米、じゃがいもが望ましくない。これに対しGIの低い全粒粉、マメ類などは良しとされている。低脂肪・高炭水化物ダイエットか、高脂肪・低炭水化物ダイエットか、どちらがいいのか、迷うところだが、幸い両者からいいところを集めたような方法が、次にあげる地中海ダイエットである。

地中海ダイエット

地中海ダイエットでは適度な脂肪(総カロリーの35-40%)と、たくさんの果物・野菜、精製していない穀類、ナッツ類、魚類と、少量の肉、チーズを食べる。一価不飽和脂肪酸のオリーブ油を多量に使う。つまり善玉の脂肪分と望ましい炭水化物を食材とし、バランスがとれている。そしてよく運動し、ワインを飲む。地中海地域の人々に心臓病が少ない事実から考案されたダイエットであり、おいしいので長続きする。この方法はWillett博士の”Eat, Drink and Be Healthy”(訳本:“太らない、病気にならない、おいしいダイエット” 光文社)に詳しく説明されている。2400年前ギリシャの哲学者プラトンも推奨した方法で、健康的に最良だとしても、運動が伴わないと減量には結びつかない。 運動――秘密の手段 どんなダイエット法でも 始めは変化があるが、ほぼ食事だけで減量を維持することはできない。体重を減らすには消費カロリー以上に燃焼させる必要がある。150ポンドの男性が1ポンド減らすのには35マイル歩かなくてはならず、運動に望みなし、とつい思ってしまうけれど、1日3マイル歩いて(健康に最適)、1日に200kCal又は全体の10%節食すると週に1ポンド減量できる。継続すれば3ヶ月でベルトが緩くなり、6ヶ月で新しいズボンを買うことになる。

見解

 人の代謝は複雑で、肥満の根本的原因は不明である。leptin, resistin, ghrelin等のホルモンもひとつの要因だし、運動しない・夕方にスナックを食べる等の行動も、ファーストフードの流行等も一因である。遺伝的影響もある。 効き目が現れるまで、時間はかかるけれど、健康的な食事法と運動を続けていくのが最も良い方法であろう。
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作成:2004/5/27 11:13:31 自動登録   更新:2009/1/20 11:45:50 自動登録   閲覧数:5656
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