Welcome GUEST
重要なお知らせ
現在リニューアル中のため、これは閲覧のみの旧バージョンです。質問や検索はできませんのでご注意下さい。
トップ  >  ダイエット注意報  >  低炭水化物ダイエット
低炭水化物ダイエット

昨年日本でもちょっと話題になったハリウッド・ダイエットというのは、別名「セレブのダイエット」ということからもわかるように、ハリウッド・スターが実行したことで有名になったダイエット法のことです。

 高たんぱく質ダイエットとも呼ばれますが、このダイエット法の本質は、実は、炭水化物の摂取を制限する低炭水化物ダイエットであるというところにあるようです。炭水化物。そうです、みんなの大好きな、白米も玄米も食パンもライ麦パンももちろん砂糖も、食べてはいけないという、栄養士真っ青、薬剤師びっくり、医師あっそれもありか(おいおい ^^;)の禁断のダイエット法なのです。

 低炭水化物ダイエットは最初1860年代にウィリアム・バンティングという人によって一般に知られるようになったようです。現在欧米のセレブの間で流行しているのはゾーンのダイエットという炭水化物エネルギー比率を40%にするもの。そしてもうひとつ、あるいは、こちらのほうが有名かもしれませんが、1973年にアトキンスが提唱したアトキンス・ダイエットがあります。炭水化物を一日20g以下に抑えるという(エネルギー比率にするとおよそ5%以下)過激なもので、現在でも世界中の栄養士会、栄養学会から反対されています(2003年の暮れにはイギリスにアトキンス協会が設立されたことを受けて、イギリス栄養士会が反対声明を出していました)。

 このように問題が多いといわれている低炭水化物ダイエット(以下面倒なので米抜きダイエットと書きます)ですが、それにもかかわらず、今なおハリウッド・スターを惹きつけてやまない何かをもっているのか、(単に宣伝にだまされているのか)どうか。それにあれだけ危険だと言われ続けているわけですから、どれくらい危険なのか、知りたいのが人情というもの。 でも、日本だと、低インスリン・ダイエットが流行っても、良識ある先生方は、「何をいっておるのやら」と単に無視して終わりで、それもまた別の人情ではありますが、アメリカは人情ではなくてプラグマティズムのお国ですから、どこまでも冷徹にその効果と安全性を追求してしまうのです。 アトキンス博士は、最終決着を見ることなく、昨年(2003年)事故でお亡くなりになりましたが、その直後に、米国医学会誌(JAMA)という医学界でもっとも権威のある雑誌のひとつに、「米抜きダイエットの効果と安全性」(いえ、低炭水化物です、原題は)という系統総覧(システマティック・レビュー)が掲載されました(Bravata, DM et al.; Efficacy and safety of low-carbohydrate diets. JAMA, 289(14): 1837-50 (2003))。 ちしききばん版ではいつも結論を先に書いてしまって無駄に読む必要がないようにしているのですが、ここでも結論を言ってしまうと、危険であるとも安全であるとも言えず、効果はほかのダイエット法より良いとはいえないということになります。

 これだけではあんまりだと思われた方のために、一応ポジティブな成果として言い直すと、50歳以上の方への適用、炭水化物を20g以下に制限すること、90日以上継続することには、安全だという充分な根拠が得られていないので、もしそうするつもりなら、医師と相談したり自己責任でするべきであり、やったからといって効果が得られるとはかぎらないということ。そして、いつも繰り返されることですが(でも筆者もけっこう当たっていると思うのですが)、米抜きダイエットは、決して炭水化物の割合が減ったから体重が減るのではなくて、トータルのカロリー摂取量が減少したから起こっているのだということです。ならばどうして低脂肪ダイエットとは体重の推移がかなり異なるのかという疑問は当然出てきますが、それは系統総覧の守備範囲外ということになるわけです。

 なあんだ、危険だとも言えないんだと思った、あなた。アトキンスの本は日本語訳が出ていますから、読んでから考えたほうが良いと思います。ただし、私は薦めません。

(2004.1.22追記)英国BBCオンラインの記事によると、BBC2の番組「ホライズン」でアトキンスダイエットの検証が行なわれたそうだ。結論は、たんぱく質と脂肪だけの食事は、食欲中枢に満腹感を与えやすく、通常よりカロリー摂取が減るため、という従来から言われてきた仮説に軍配が上がったという。ヒューマンカロリーメータを使ったらしい実験では、一卵性双生児に、アトキンスダイエットと低脂肪ダイエットを行なってもらい、実際にカロリー消費が上昇するのかを確かめたところ、たった22キロカロリーの差しかなかったという。尿中に余分なカロリーが排泄されるということもなかったらしい。記事は、コペンハーゲンにあるデンマーク王立栄養研究所所長のアストループ(肥満学の権威)らの新しい研究に触れ、高たんぱく質ダイエットをすると高炭水化物ダイエットに比べてカロリー摂取が少なくなるという結果を紹介している。幾らでも好きなものを食べてよい環境を設定したにもかかわらず。BBCの番組は22日の午後9時からチャンネル2で放送される。今から飛行機に乗れば、まだ間に合うかも。

(廣田晃一 健康・栄養情報研究室長・現IT支援プロジェクトリーダー)
プリンタ用画面
友達に伝える
投票数:10 平均点:4.00
作成:2004/6/10 11:06:40 自動登録   更新:2009/1/20 11:51:59 自動登録   閲覧数:10073
前
脂身で太るは間違い?
カテゴリートップ
ダイエット注意報
次
低脂肪ダイエットで好きなだけ食べてやせる

メインメニュー