ポテトチップス等に含まれるアクリルアミドについて

　ポテトチップスなどに含まれる微量のアクリルアミドを長期摂取した場合の人体への影響について、現在研究が進められています。

　アクリルアミドはポリアクリルアミド（アクリルアミドの重合体）として化粧品、食品の包装、浄水など様々な用途に用いられています。ポリアクリルアミドには毒性はありませんが、利用の過程で未反応のアクリルアミドが微量に残ることもあります。アクリルアミドには神経毒性があり、国際がん研究機関（IARC）によって発がんの可能性も指摘されています(1)。また、マウスにおけるアクリルアミドの50％致死量は170mg/kgと報告されています
(2)。

　2002年4月に発表されたスウェーデン政府の研究によって、アクリルアミドが日常摂取する食品に含まれていることがわかりました。特に高炭水化物を高温で調理したもの（揚げ物、焼き物など）で見つかっていますが、茹でたものでは見つかっていません(3)。一般的な食生活において口にする食べ物、例えばポテトチップスでは467?3,544µg/kg、フライドポテトでは512?784µg/kgのアクリルアミドが検出されています(4)(5)。

　スウェーデン政府は一日に平均35?40µgのアクリルアミドを食品から摂取していると推定していますが、スウェーデンで行われた大腸・腎臓・膀胱がん患者と健常者を比較した調査では、食品中のアクリルアミドとそれらのがんには関連はないという結果でした（6）。しかし、アクリルアミドの危険性については不明の部分も多く、現在さまざまな研究が進行中です。

　アクリルアミドの生成については、アスパラギンとグルコースを多く含む食品が高温で調理されるとメイラード反応が起こり、それによってアクリルアミドが生成されるのではないかと言われています(7)。高温調理によって生成されるので、一般の食品とオーガニック食品との間に差はなく、また未調理の食品では検出されていません。より詳しい情報がわかるまでは、従来どおりの食生活指針に基づいた食事を続けることをおすすめします。【中嶋良子、廣田晃一】

参考文献
(1) IARC. Monographs on the Evaluation of Carcinogen Risk to Humans: Some industrial Chemicals, No. 60. Lyon: International Agency for Research on Cancer; 1994.
(2) The Mereck Index. New Jersey: Merck & Co., Inc.; 2001.; p.24
(3) Livsmedelsverket National Food Administration. Acrylamide in foodstuffs, consumption and intake. (2002, June 6). Retrieved April 1, 2003, from https://www.slv.se/engdefault.asp　
(4) 厚生省. 加工食品中アクリルアミドの関するQ&A. (2002, November). Retrieved April 1, 2003, from https://www.mhlw.go.jp/topics/2002/11/tp1101-1.html
(5) 厚生省. 国立医薬品食品衛生研究所での調査結果. (2002, November). Retrieved April 1, 2003, from https://www.mhlw.go.jp/topics/2002/11/tp1101-1a.html
(6) Mucci LA, Dickman PW, Steineck G, Adami H-O, Augustsson K. Dietary acrylamide and cancer of the large bowel, kidney, and bladder: Absence of an association in a population-based study in Sweden. British Journal of Cancer 2003; 88:84-89.
(7) Mottram D, Wedzicha BL, Dodson AT. Acrylamide is formed in the Maillard reaction. Nature 2002; 419: 448-449.

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