Welcome GUEST
重要なお知らせ
現在リニューアル中のため、これは閲覧のみの旧バージョンです。質問や検索はできませんのでご注意下さい。
トップ  >  研究紹介  >  自己申告による摂取エネルギーの妥当性について
自己申告による摂取エネルギーの妥当性について

― 二重標識水法による消費エネルギーとの比較研究から―

■関連リンク(こちらもご参考にどうぞ)■
二重標識水法により測定した健康な日本人の身体活動レベル

 食事調査をすると、実際の摂取量よりも少なく申告したり、逆に多く見積もって申告したりする「申告誤差」がしばしばみられます。これは、管理栄養士を悩ます問題のひとつです。食事調査をする際に、どのくらいの人に申告誤差が生じる可能性があるのか、また申告誤差にはどのような要因が関係しているのかということを知っておく必要があります。しかし、このような「申告精度」に関する報告はもっぱら欧米からであり、日本人を対象とした研究報告はまだ少ないのが現状です。

 そこで、習慣的な摂取量を把握するために開発された自記式食事歴法質問票(DHQ)から得られる摂取エネルギーの申告状況と、申告精度に及ぼす要因について検討しました。

 この調査は、新潟、徳島、福岡、鹿児島の4地域の健康な一般住民のうち20?59歳の男女140名の協力を得て実施しました。過去1か月のエネルギー摂取量の把握には、DHQを使用しました。体重が安定しているときには、摂取エネルギー(EI)と消費エネルギー(TEE)が釣り合っているため、摂取エネルギーの申告量が妥当であるかは、摂取エネルギーとの比率(EI/TEE)から評価しました。

 消費エネルギーの測定には、最も正確かつ日常生活に影響の少ない外的指標として有望視されている二重標識水法を用いました。

 摂取エネルギーは、消費エネルギーと比較して、男性で16%、女性で6%少なく申告されていました。そして、EI/TEEが0.68未満を過小申告、0.68?1.16は適正申告、1.16より大きい場合は過大申告と評価したところ、男性の58%、女性の32%が過小申告、男性の10%、女性の18%が過大申告に分類されました(図)。この結果から、男女ともに過大よりも過小申告のほうが問題であることがわかりました。

 続いて、摂取エネルギーと消費エネルギーの相関を検討したところ、男性0.34、女性0.22でした。そこで、申告精度(EI/TEE)に及ぼす要因を調べたところ、男性では身体活動レベル、飲酒頻度(回/週)、理想体重と現在体重の差(kg)、ダイエット経験が、女性では年齢、BMI、学歴が関係していることがわかりました。そして、これらの要因を調整したところ、相関係数は男性で0.42、女性で0.37となり、相関が強くなりました。以上より、自己申告による摂取エネルギーを評価する際には、食事以外の因子を考慮することの必要性が明らかになりました。

 今回の結果は、二重標識水を外的指標として、摂取エネルギーの妥当性を検討した日本で最初の研究報告になります。しかし、注意してほしいのは、今回の対象者は、ある地域に限定されているため、この結果がすべての日本人に該当するとは言えません。また今回の結果から、申告精度に及ぼす要因は性別によって異なる可能性が示唆されました。そのため、他の集団で同様の研究が必要です。【大久保公美、佐々木敏、Hoby Hasina Rafamantanantsoa、田畑泉、高田和子、岡崎博一】


出典:Okubo H, Sasaki S, Rafamantanantsoa HH, Ishikawa-Takata K, Okazaki H, Tabata I. Validation of self-reported energy intake by a self-administered diet history questionnaire using the doubly labeled water method in 140 Japanese adults. Eur J Clin Nutr( in press)



ニュースレター「健康・栄養ニュース」第7巻1号(通巻24号)平成20年6月15日発行から転載


■関連リンク(こちらもご参考にどうぞ)■
二重標識水法により測定した健康な日本人の身体活動レベル
プリンタ用画面
友達に伝える
投票数:4 平均点:5.00
作成:2008/9/29 9:41:14 自動登録   更新:2009/2/9 16:31:44 自動登録   閲覧数:5732
前
日本人大学生における肥痩評価と身体組成との関係
カテゴリートップ
研究紹介
次
身体活動後の代謝亢進が1日当たりのエネルギー消費量に及ぼす影響

メインメニュー