キャベツに含まれる成分について


【質問】
 キャベツの栄養・成分についての質問です。

 キャベツには甲状腺種を誘発させるゴイトリンという成分が含まれているそうですが、この成分はヨウ素を補っても甲状腺機能低下を防げないといわれています。

 毎日大量にキャベツを食べるのですが、このゴイトリンによる甲状腺種の予防法などはないでしょうか?


【解答】
 J.Biol.Chem.に1959年に掲載された下記論文に、キャベツの食べる部分(可食部)のgoitonin含量はキャベツ1gあたり約0.1マイクログラムと書かれています。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/utils/fref.fcgi?PrId=3051&itool=AbstractPlus-def&uid=13672974&db=pubmed&url=https://www.jbc.org/cgi/pmidlookup?view=long&pmid=13672974

 次に、1989年のドイツ語の論文

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2634245?ordinalpos=14&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVEocSum

によって、毎日食べても毒性が出ないと思われる最大量(NOAEL)は、ヒトの体重1kgあたり0.4mg(体重50kgのヒトならば、20mg、つまり20,000マイクログラム)です。

 毎日キャベツを10kg食べても1,000マイクログラム程度ですから、通常の食べ方をしている限り、影響が出ることは考えにくいと思われます。【廣田晃一】



【質問2】
 回答ありがとうございます。

 再び疑問に思ったことがあるので再度質問させてもらいたいのですが、キャベツ中に含まれるゴイトリン含量がこちらのサイトでは100gあたり3.8mgとなっています。

 これだとキャベツを日常的に食べている人であれば人体に毒性が出てしまう計算になってしまいます。

 また、キャベツに含まれるglucosinolateという成分も強力な甲状腺腫誘発薬で、ヨウ素の取り込みとチロキシン生成を阻害し、単にヨウ素を投与するだけでは軽減されないと書かれているのですが真偽のほうはどうでしょうか?

 また、もしゴイトリンやglucosinolateの甲状腺種誘発成分に対抗する成分などは存在するのであれば教えていただきたいです。

 よろしくお願いします。

https://www.drugsinfo.jp/2007/11/12-223844


【解答2】
 上記のサイトでは、キャベツは問題ないといっているようにみえます。

 もともとキャベツの可食部のゴイトリン含量は測定できないくらい低く、多いのは根あるいは種子部分のようです。

 それに、もし3.8mg/100gという値を信じることにしても、毎日500g(小玉のキャベツ半分くらい)を食べても何の問題もない(もちろん少し多くても)ということです。NOAELというのはそういう値です。

 化学物質の影響というのは指数関数的に現れるので、おそらく1kg(小玉キャベツ丸ごと)を毎日摂取しても影響はないだろうと推定できます。

 したがって、サイトの最後に書かれているように、極端な偏食(毎日キャベツ一個を生で365日食べるなど)をしない限り影響はないと思われますが、それでももし心配なときは、キャベツを食べる量を減らすべきです。【廣田晃一】


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