どのくらい運動したら、高血圧が改善できるんだろう?

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 運動を行うことで、軽度の高血圧が改善されることが知られています。では、どのくらいの運動をしたら、どの程度、血圧が改善するのでしょうか。この研究は、血圧の改善のための適切な運動量や運動頻度を検討するために行いました。

 この研究は軽症の生活習慣病に対する運動の効果を検討する研究として行われたもので、1,425名の方が8週間にわたって、専門家の指導で運動を行い、運動による生活習慣病の改善について検討しました。

 このうちStage 1または2に区分される高血圧の人は450名でした。さらに、高血圧の治療中の人、冠状動脈系の疾患を有する人、参加前に運動習慣のある人などを除く207名を対象に解析を行いました。8週間の運動の前後には、身長、体重、血圧測定、血液検査のほか、栄養調査や体力測定を行いました。

 運動群の人は、この研究に参加しているスポーツクラブのうちの1箇所でトレーナーの指導の下に運動を行いました。運動は、ウォームアップ、有酸素運動、ストレッチングや筋力アップなどを組み合わせたものです。有酸素運動の運動強度は最大酸素摂取量の50%としました。コントロール群は運動をしないで、これまでと同じ身体活動量を維持しました。


 下の図には、運動群の人を1週間あたりの運動時間別に4つのグループに分けて、収縮期血圧の8週間の運動の前後での変化量を示しました。運動前の血圧は、どのグループでも同じでした。運動をしていないコントロール群では、収縮期血圧、拡張期血圧とも変化しませんでした。運動を行った4つのグループでは、どのグループでも血圧が低下しています。1週間あたり61分以上運動したグループの収縮期血圧の低下は、30?60分の群と比べて大きいのですが、61分以上のグループとの差はありませんでした。

 また、運動量別のグループごとに、1週間の運動回数を1?2回、3?4回、5回以上に分けて比べても、1週間の運動量が同
じならば、血圧の低下に違いはありませんでした。

 これらのことからは、週に61分以上の運動をすると、8週間で10mmHg以上、収縮期血圧を低下させることができると、週に合計61分の運動は、週に1?2回にまとめて行っても、週に5回以上に分けて行っても、血圧の改善の効果は変わらないことがわかりました。【高田和子】



出典:How much exercisei sr equiredt or educe blood pressurei n essential hypertensives:ad ose-response study. Ishikawa-Takata K et al:Am J Hypertens. 16:629-683, 2003.

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第2巻4号(通巻7号)平成16年3月15日発行から転載


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