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脂肪組織における糖輸送体発現を調節する遺伝子配列の検索

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 糖輸送体GLUT4は主に筋肉や脂肪組織に発現し、血糖値の調節において重要な役割を果たしています。食事由来の炭水化物は、ブドウ糖となって血液中に運ばれます。血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が上昇すると、すい臓からインスリンが分泌され、それが筋肉や脂肪組織に働いてGLUT4を活性化して血糖をそれぞれの組織に取り込ませて血糖値を下げます。筋肉でのインスリンの効きが悪くなるインスリン抵抗性(糖尿病予備軍)の状態では血糖値が下がりにくくなります。

 西洋型の食事である高脂肪食を長期間摂取すると、脂肪組織におけるGLUT4量が減少することが知られていますが、インスリン刺激による血糖取り込みが主に筋肉で行われるため、これまでは筋肉におけるインスリン抵抗性ばかりが重要視されてきました。

 しかし、人工的に脂肪組織のGLUT4を持たないようにしたマウス(ノックアウトマウス)が、インスリン抵抗性を示したことから、脂肪組織におけるGLUT4発現量の低下が糖尿病発症に深く関与していることが示唆されました。

 我々の研究室では以前より、GLUT4の発現量を調節する遺伝子領域の検討を行っております。図1に示したように、GLUT4をコードしている遺伝子と、A、B、Cのような異なった長さの上流領域(この領域のどこかに遺伝子発現を調節するDNA配列がある)を持つ「人工GLUT4遺伝子」を作製します。それぞれの「人工GLUT4遺伝子」をマウスの受精卵に注入しますと、ある程度の確率で「人工GLUT4遺伝子」を持つマウスが産まれてきます。それらのマウスの脂肪組織での「人工GLUT4遺伝子」由来のGLUT4の発現を調べることにより、どれだけの長さの上流領域が脂肪組織での遺伝子発現に必要なのかを調べてきました。

 その結果、GLUT4が脂肪組織で発現するのに必要な遺伝子領域(脂肪組織特異性領域ASE)と、高脂肪食摂取によるGLUT4発現低下を引き起こす領域HFREがどこなのかをある程度の範囲まで狭めることに成功しております。

 今回、図1の手法を用いてASEとHFREの存在する遺伝子領域をさらに狭めました。さらに、ASEに結合する核蛋白質Xの存在と、それらが結合するDNA配列(配列1)を明らかにしました(図2)。

 今後、ASEとHFREのDNA配列が確定し、それらに結合する転写因子(遺伝子発現を調節する核蛋白質)を同定していく方針です。これらの転写因子が脂肪組織におけるGLUT4発現を支配していることが明らかにされれば、それらを標的とした新規の糖尿病治療法の開発に役立つことが期待されます。【三浦進司】







出典:Regulatory sequenceelements of mouse GLU4 gene expression in adipose tissues. Miura S, Tsunoda N, Ikeda S, Kai Y, Ono M, Maruyama K,Takahashi M, Mochida K, Matsuda J, Lane MD,Ezaki O:Biochem. Biophys. Res. Commun. : 312:277-284, 2003.

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第2巻4号(通巻7号)平成16年3月15日発行から転載


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作成:2008/7/14 14:37:03 自動登録   更新:2009/2/9 10:51:53 自動登録   閲覧数:7523
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