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n?3系脂肪酸(EPAあるいはDHA)と中鎖脂肪酸を含む新規構造油脂の機能性

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生活習慣病改善効果が期待される機能性構造油脂の開発

 一般的に食用油脂は、3つの脂肪酸がグリセロールに結合したトリアシルグリセロールの形で存在しています。

 トリアシルグリセロールは、消化酵素リパーゼの働きによりグリセロールの1位と3位に付いた脂肪酸が加水分解され、2?モノアシルグリセロールと2つの脂肪酸が形成されます。この遊離する脂肪酸の位置(1,3位)やグリセロールの2位に機能性に富む任意の脂肪酸を結合させ、効果的に生体内に取り込ませ生理効果を高める工夫をされている油が構造油脂です。

 これまで研究の多くは、油脂を構成する脂肪酸の機能性に焦点が当てられ検討が行われてきました。脂肪酸の有する機能性を食用油として利用するため国内では、任意の脂肪酸をグリセロールに結合させ、脂肪酸の持つ機能性を最大限に発揮させた食用油脂や、脂肪酸の結合部位と脂肪酸の数を工夫し吸収に特徴を持たせた構造に加工された食用油脂が市場に出回っています。ジアシルグリセロールを豊富に含む油脂や中鎖脂肪酸を含む油脂がこれらの構造油脂に該当します。

 我々は今回、生活習慣病のリスク因子である肥満や血清脂質濃度に対して効果が知られているn?3系脂肪酸のエイコサペンタエン酸(EPA)あるいはドコサヘキサエン酸(DHA)と体脂肪蓄積抑制効果があると考えられている中鎖脂肪酸を組み合わせた新規構造油脂を位置特異性の高い反応が可能な酵素を用いて合成しました。

 これらの構造脂質をラットに与え、血清及び肝臓脂質濃度や体脂肪蓄積に及ぼす脂肪酸あるいは結合位置特異性の相違などに関して従来の食用油脂と比較検討しました。

 今回合成された構造油脂は、グリセロールの1(3)位にn?3系脂肪酸、他に中鎖脂肪酸を配した構造あるいは2位にn?3系脂肪酸、1位と3位に中鎖脂肪酸を配した構造のいずれかを純度約70?80%で含む油脂でした。

 重量比7%で構造油脂を含む食餌を4週間ラットに与えた実験では、成長や食餌摂取量に関して食用油脂である大豆油と有意な差を認めませんでしたが、摂取直後より血清コレステロール濃度は飼育期間中低い値で推移しました。

 解剖時血清脂質濃度は、構造油脂の摂取により有意に低値を示しました。特にEPAを含む構造油脂のラット血清脂質濃度低下作用は、DHAを含む油脂より強い傾向を示しました。一方、肝臓脂質濃度へは顕著な効果を認めませんでした。

 体脂肪の中でも腎臓周辺の脂肪組織重量は、DHAを含む構造油脂摂取により有意に低い値を示しました。

 これらの結果より、これら構造油脂はいずれも生活習慣病リスク因子である血中脂質濃度の改善効果を有する構造油脂であることが明らかになりました。

 しかし、今回合成した構造油脂の生活習慣病リスク因子低減効果に関して、脂肪酸による影響が大きく反映され、トリグリセリド構造による差異は明らかではありませんでした。

 今後、様々な構造設計を試み、生活習慣病予防あるいは改善により一層効果的な構造油脂の開発を行いたいと考えています。【永田純一】


出典:Nagata J, Kasai M, Negishi S, Saito M:Effects of structured lipids containing eicosapentaenoicor docosahexaenoic acid and caprylic acid on serum and liver lipid profiles in rats.Biofactor, 22, 157?160, 2004

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第3巻4号(通巻11号)平成17年3月15日発行から転載


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作成:2008/7/7 10:22:27 自動登録   更新:2009/2/6 16:33:17 自動登録   閲覧数:9985
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