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一般用語と科学用語、法律用語

 栄養に関する話題は栄養の専門家のみならず一般の人々の間で語られている話題です。しかし、その議論のなかで、言葉の問題が障害となっている場合が少なくありません。

 例えば、一般用語として「ミネラル」という用語が用いられる場合、話し手の「ミネラル」と聞き手の「ミネラル」は必ずしも同じ意味合いで用いられているとは限りません。また、改まって「ミネラルとは何ですか」と問われると、答えに窮する人も大勢おられます。

 科学用語としても「ミネラル」は厳密に定義されていない用語なので、科学用語として「ミネラル」を用いる場合には定義をして用いなければなりません。例えば、「ここでは、[ミネラル]とは、医学、栄養学の分野で、元素レベルで物質を捉えるときに用いる用語で、水素(H)、炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)以外の元素の総称という意味で用いる言葉として用います。」というようにことわってから用いるのが正しい用い方です。

 しかし、一般の会話を言葉の定義をしながら行うことはあまりないので、冒頭に述べたような不都合が生じます。「ミネラルウォーター」も一般用語ですが、ミネラルを(比較的多く)含んだ水と解釈する人がいてもおかしくはありません(上の定義ではナトリウムもミネラルですが、この場合、ナトリウムはミネラルとして意識されていません)。

 そこで、「このミネラルウォーターにはミネラルが少ないので不当表示だ」などという議論がまじめに起きることになります。

 しかし、この議論は、定義していない用語を用いて科学や法律について語ることになるので、用語の定義に遡り、そこから科学的に議論を始める必要があるでしょう。

 法律用語は法律で定義を明らかにしている用語です。「特定保健用食品」や「栄養機能食品」は法律用語ですから明確に用語が規定されています。しかし、「栄養補助食品」はどうでしょうか。この言葉は一般用語ですから、用いる人によって様々な解釈が可能です。したがって、「栄養補助食品とは何か」といった議論は意味のない議論ということになります。

 「健康食品」という用語も一般用語です。「食品」と「健康食品」とどこが違うのでしょうか。この議論は意味のない議論ですが、それではなぜ「健康」とうたっているのでしょうか。

 ここには消費者のイメージにつけ込んだ販売者の意図が見えてきます。「健康‥」という言葉に消費者は「プラスのイメージ」をもっていて、ただの「食品」より「健康食品」の方が「有り難い」食品と勝手に解釈し、ときとして「薬理効果」まで期待して購入します。

 「食品」を薬理効果をうたって販売すると薬事法に抵触することになりますので、販売者の方は通常は薬理効果をうたいません。「特定保健用食品」は関与する成分の薬理作用が認められた食品です。

 しかし、その表示方法は微妙で、例えば降圧成分が含まれる特定保健用食品には「高血圧の治療に有効」という表示は許可されておらず、「血圧が気になる人におすすめします。」などの表示がなされています。【西牟田守】



ニュースレター「健康・栄養ニュース」第4巻2号(通巻13号)平成17年9月15日発行から転載
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作成:2008/7/4 16:56:03 自動登録   更新:2009/2/10 14:22:47 自動登録   閲覧数:5163
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