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ペットコーナーで健康と栄養の研究を考える?

 飼い犬の数と子供の数が逆転しそうだということをご存知ですか?

 平成17年度の出生数は106万人、平成15年度の飼い犬登録数は626万頭、平成17年度にペットフード工業会が行った調査からの推定では1,306万頭が飼われているそうです。

 通勤途中でも散歩をしていても犬を連れた人に良く出会います。普通のスーパーマーケットにもペットコーナーがあり、ドッグフード等がおいてあります。平成17年度のペット関連市場は1兆円だそうです。

 昔、私が子供だった頃は犬の食事は人間の残り物が当たり前で、専用の餌を購入して食べさせるようなことは一般的にはありませんでした。犬の寿命もせいぜい4?5年だったように記憶しています。ところが今では高齢犬用の餌まであり、犬種によって差はありますが平均寿命も12?14歳くらい、盲導犬も10歳くらいまでは働くようです。正確な統計はありませんが、寿命は驚異的に延びているようです。

 寿命が延びた原因の1つとしてドッグフードの普及が考えられています。まさに犬は健康における栄養の重要性を証明していると言っても良いのではないでしょうか?


 さて、研究雑感ということで犬の話から始めましたが、人間の栄養に関しては、本研究所に来て初めて出納実験に関係することができました。

 出納実験を主宰されている西牟田先生には大変感謝しておりますが、特に平成16年度は21日間にも及ぶ実験期間中の非特異的免疫機能の変動というテーマで出納実験に参加させて頂きました。ここでは研究成果については触れませんが、その一部がようやく論文になり現在Web上で公開されています。

 実験期間中は出納実験初心者の私にとって驚きの連続で、実験に被験者として協力して下さった女子大生11名の協力的姿勢に感激しました。出納実験ですから食べたものと排泄したものをきちんと調べておかなくてはいけません。それは当然ですが、排泄物を回収するのは結構大変です。

 しかし、食事を見ているとさらに大変そうでした。食事を作り、配膳し、重量を計測する方々にも感服しましたが、被験者さんは出された食事を何一つ残さず全部食べる、しかも4日間のセットメニューですから4日きざみで同じ食事が出てくる。偶然にお味噌汁を見たのですが、中の具の豆腐までが良く刻めたなと思うほど小さくサイの目に切ってありました。これは可能な限り被
験者の食事および食事試料が均一となるようにしている工夫の一つだそうですが、私だったら5日目には逃げ出すなと思いました。

 犬には一日に1回または2回、同じ時間に同じドッグフードを与えて飼育していますから、出納実験は楽だろうと思います。「加齢に負けない体作りを考え、抗酸化食品や、年齢と共に減少しやすくなる栄養素を強化して配合」とドッグフードの宣伝に書かれていました。

 こんな宣伝が出来るような人の食事も高齢化社会ですので必要かもしれませんが、高齢者を被験者とした出納実験は大変だろうと思います。それに、もし仮にドッグフードのようなバランスの取れたドライフードが作れたとしても、健康で長生きできるから、同じものを食べ続けなさいと指導できません。それは生活の質の低下です。

 色々な欲求を持つわがままな人類に対して、健康と栄養の研究はどこまで介入できるのでしょうか?【熊江 隆】

 


ニュースレター「健康・栄養ニュース」第5巻2号(通巻17号)平成18年9月15日発行から転載
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作成:2008/6/30 14:46:51 自動登録   更新:2009/2/10 14:13:59 自動登録   閲覧数:4069
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