走運動トレーニングが発ガン性物質によるネズミ大腸の異常腺窩数に及ぼす影響

 大腸ガンの予防に運動・身体活動が有効であることは、多くの疫学的研究により明らかにされています。しかし、その機序については不明です。

 大腸ガンは、がん腫(いわゆるガン)に至る前に腺腫(ポリープ)を経ることが明らかになっていますが、さらに最近、その前の段階で、大腸の正常上皮細胞が異常腺窩巣(aberrant crypt foci, ACF)を経由して腺腫となることが示唆されています。

 本研究では、ラットに大腸ガンの化学的誘発物資である1,2-Dimethylhydrazineを腹腔内投与した後、1週間後から1日120分間の中等度強度の走運動トレーニングを週5回4週間行ったところ、非運動群のACF数(34±22個)に比べて運動群のACF(13±11個)は半分程度になることを明らかにしました。

 本研究により身体活動は多段階過程を経る大腸ガンの発生の最も初期の段階で効果を現すことが明らかとなり、身体活動・運動が大腸がんの一次予防において重要であることが示唆されました。【田畑 泉】



出典:Fuku N, Ochiai M, Terada S, Fujimoto E, Nakagama H, Tabata I: 健康増進プログラム: Medicine and Sciences in Sports and Exercise: 39(1): 70-74, 2007. 1.

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第6巻1号(通巻20号)平成19年6月15日発行から転載

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