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今、メタボリックシンドロームプロジェクトでは

 最近、日本では生活習慣病の患者さんの数が増えており、糖尿病では約740 万人もいらっしゃると言われています。

 糖尿病などの生活習慣病は、生活習慣病になりやすい体質に、ファーストフードに代表される脂肪分の多い食事や自動車にのってあまり歩かないなどの生活習慣が組み合わさって発症すると考えられています。

 この研究では、アンケート調査に基づいた栄養素の摂取量や身体活動と、生活習慣病を引き起こしやすくしている遺伝子の組み合わせが、どのように肥満や血糖値に影響を及ぼしているかを検討しています。

 まず、私たちは、まず生活習慣病に関連した遺伝子を、SNP( スニップと呼んでいる) といわれていて、ヒトゲノム(体の設計図のようなもの)の中で個人によって違う配列の箇所を利用した検討で明らかにしてきました。

 詳しい原理はここでは省略しますが、私たちの検討では、ヒトゲノムの中には、日本人で特に糖尿病になりやすくしている遺伝子の箇所が9箇所以上存在することが分かっています。その中の一箇所は、アディポネクチンという脂肪細胞(太ると肥大化する)で豊富に存在し血液の中にも分泌されている遺伝子であった
のです。

 アディポネクチンのSNP がG という文字の場合、T の文字である人に比べて2倍も糖尿病になり易いことが分かったのです。更に面白いことは、体重が多い人ではこのSNP の影響がやせた人に比べて強くなっていたことです。体重が多い人は、脂肪を多く含んだ食品を摂取していると考えられます。

 この結果から、食生活と体質(遺伝素因)が組み合わさるとと
ても生活習慣病になり易いということが分かるのではないでしょうか。これが「栄養・遺伝相互作用」といわれる現象で、私たちは、アディポネクチン以外にもこのような現象が見られないか、ある地域の方々に協力して頂きながら研究を進めています。

 糖尿病になり易い体質を作っている遺伝子については、私たちの研究も含めて複数見つかってきています。

 脂肪細胞で働くPPARγという遺伝子、インスリンという血糖を調節している大事なホルモンを作っている膵臓で働くHNF4αという遺伝子、先ほども出てきましたアディポネクチンの働きを伝えるAMP キナーゼという遺伝子などが日本人の糖尿病になり易い体質の一部であることを発表しています。

 また、最近欧米の研究者からヒトゲノムのなかから糖尿病になり易い遺伝子を一網打尽に見つけることが出来る方法をつかっていくつかの遺伝子が糖尿病に関係していることが分かったと発表がありました。現在私たちもその結果が正しいかどうか検証作業を行っているところです。

 このように、最近、生活習慣病になりやすくしている遺伝子は続々と見つかってきているのですが、大切なことは冒頭でも述べましたように、遺伝だけでは生活習慣病にならないということです。

 なりやすい体質になりやすい生活習慣が組み合わさって発症するということ、なりやすい体質といっても一つの遺伝子が決めているのではなく多くの遺伝子が組み合わさっているということです。

 私たちは、この研究を通して、どのような遺伝子たちがどのような生活習慣と組み合わさって日本人で糖尿病・メタボリックシンドロームを増やしているか、その具体像を明らかにすることが出来ればと思っています。【門脇 孝、原 一雄】



ニュースレター「健康・栄養ニュース」第6巻2号(通巻21号)平成19年9月15日発行から転載
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作成:2008/6/12 16:03:17 自動登録   更新:2009/2/10 13:40:46 自動登録   閲覧数:7397
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