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次期の栄養研究をめざして

 基礎栄養プログラム(脂質・糖代謝プロジェクト)では、主に遺伝子改変動物を用いて、運動や食事指導によってメタボリックシンドローム及び生活習慣病がいかに予防されるのか、分子レベルでの機序解明を試み、運動と食事指導による肥満、糖尿病、および脂肪肝の予防法の理論構築を目指しています。
 
 今年度から、新しい研究を立ち上げました。今回はその研究について紹介します。

 現在の日本は飽食の時代で、どんな食品でも食べることができます。しかし、世界情勢は食糧不足の方へ傾きつつあります。国にお金があれば食糧は買えるかもしれませんが、今後、食品の値段が高くなり、すべての日本人に十分な食糧が行き渡らなくなる可能性があります。

 動物実験では、好きなだけ食べるよりはカロリー(エネルギー)を制限した方が、肥満になりにく、長寿になることが知られています。

 人の場合、カロリー制限を行うと長寿になるかどうかは明らかでありませんが、もしそうだとすると、食糧不足は良い方向に作用し、肥満の発症頻度を減らし、平均寿命をさらに延ばす可能性があります。

 一方、昔は日本も食糧難の時代があり、脳卒中や感染症(主に結核)による死亡率が高く、平均寿命も50歳前後でした。短命にカロリー不足がどれだけ関与していたかどうか不明ですが、カロリーが不足すると、体内での蛋白合成が上手くいかず、アミノ酸の摂取不足も加わって、血管壁の脆弱化や免疫能の低下を来たし、脳出血や感染症にかかり易くなりことは容易に想定されます。

 現在の日本でも、食事が十分に摂取できず、筋力が低下し、肺炎に罹患し亡くなられることは高齢者で良く経験します。

 このような事情から、日本で将来食糧不足になった場合、どのような疾病構造になるか、長寿なるか短命になるか、予測はできません。

 生体に必要なエネルギーは、マクロニュートリエントと呼ばれる3大栄養素、すなわち、脂肪、炭水化物、蛋白質を摂取するこ
とにより得られます。マクロニュートリエントの炭素骨格を吸気中の酸素で燃焼し、エネルギーを得ています。

 3大栄養素は体の中で燃やされ方(エネルギー効率)が異なります。脂肪、炭水化物は最後まで燃やされ、二酸化炭素と水になりますが、食事由来の蛋白質にある窒素は細胞の構成蛋白に使われるとともに、一部は尿から尿素として排出されます。

 また、脂肪の中でも飽和脂肪酸は体脂肪として体の中に蓄積しやすいのに対し、魚の脂は燃えやすく体脂肪としては蓄積しにくい油です。

 このようにマクロニュートリエントの中でも様々な特徴があります。最近の分子生物学の進歩により、マクロニュートリエントがエネルギー代謝に於いて、それぞれ何をしているか分子レベルで理解されるようになってきています。

 平成19年4月より、この研究のため、新しい研究員を迎えました。摂取エネルギーが減少した時、どのような病気が増加する
のか減少するのか、どのようなマクロニュートリエントを摂取すれば病気の発症が抑えられるのか、それらの分子機序を明らかに
し、今後の日本の食糧政策に役立てたいと思います。【江崎 治、三浦進司】

ニュースレター「健康・栄養ニュース」第6巻3号(通巻22号)平成19年12月15日発行から転載
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作成:2008/6/12 13:38:18 自動登録   更新:2009/2/10 13:39:13 自動登録   閲覧数:9483
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