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添加物の使用基準の決め方

【質問】
 突然のメール失礼いたします。

 現在、大学の教職の総合演習という授業で添加物について調べています。特に人口甘味料や化学調味料について調べているのですが、 2つに共通しての疑問は「添加物の使用基準の決め方」です。
 人に対する影響はどの国の人にも同じはずなのに、 JECFA・EU・アメリカ・日本、とそれぞれ考え方も違い決め方も違うのがよくわかりません。

 近年インターネット等をはじめとしてさまざまな情報が溢れています。企業の有効性を誇張した宣伝など素人は惑わされてしまいます。 その中で、専門性の無い人々が正しい知識をどのようにして身に付けていけばいいかということもアドバイスしていただけると幸いです。

 素人向きのお返事をいただけるとうれしいです。
 よろしくお願いいたします。


【解答】
 まず、人に対する影響は基本的にみな同じはずですが、その「同じ」部分がすべてわかっているわけではありません。つまり、どのように悪影響を及ぼすのかは研究者によって意見が違うことがよくあるのです。したがって、聞くべき研究者が異なる各国の対応は異なる場合があるということになります。

 次に、人はみな同じではありません。ヒトの中には、たとえばお酒を代謝するのが容易な欧米人、苦手な日本人、という程度の差異は存在します。遺伝子が主として作り出すのはたんぱく質で、この場合はアルコールを代謝する機能を持ったたんぱく質(酵素)に変異があるために違いが現れます。したがって、体内で代謝されて毒性が現れたり、逆に無毒化される添加物は、欧米と日本では異なってくる場合も考えられます。

 さらに、ヒトという種が完全に単一の集団であると仮定しても、国や地域によって、各々の生活、特に食生活が異なります。毎日パンを主として食べる国では、マーガリンに変なものが入っているのは大問題ですが、日本では特にパン好きとかお米が嫌いというのでなければ、パンは一日に一度も食べない可能性もありますから、マーガリンの消費量はほとんど問題になりません(あきらかに個人差がありますが、ここでは国がどのように決めるかという場合の考え方です)。

 実際、国民健康・栄養調査の結果から推定すると、ほとんどの日本人は、欧米で規制しようとしているマーガリンの摂取上限(正確にはトランス脂肪酸の摂取上限)値より少ない量しか摂取していないことがわかります。こういう場合に、マーガリンに含まれるトランス脂肪酸の含量を厳しく規制する必要があるかどうかは、科学ではなくて政治の問題になってきます。

 最後に、専門性のない人が正しい知識を身に付ける方法ということですが、インターネットに限って言えば、営利を目的としないサイト(大学や研究所)には、最新ではなくても間違ってはいない情報が載せられていることが多いです。反対に、たとえば健康食品の販売サイトには、目を覆わんばかりのでたらめやごまかしが横行しています(もちろん正確なサイトもたくさんありますよ)。いつも出典はなにかということに気をつけてGoogleなどで検索していくと、でたらめな記事でも、元々のサイトで書かれている事実は比較的まともだったりします。こういう経路を複数(がポイント!)たどっていくと、割と正確な結論にたどりつける確率が高まります。

 同時に、PubMedのような(英語ですが)学術文献の抄録のデータベースが無料(アメリカの国策の結果ですね)で公開されていますので、こういったものや各一次文献誌(つまり学術雑誌そのもの)および学生向けのポピュラーサイエンスなどの各サイト(すべて英語なのはしかたないかも。日本には残念ながらまったくありません)も調べていくと、おおよそのところはわかってくることが多いです。でも、そのためには、やはり大学の教養程度の科学の知識は必要かもしれません。

 よろしいでしょうか? 【廣田晃一】


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作成:2003/12/3 14:25:55 自動登録   更新:2009/2/12 14:50:01 自動登録   閲覧数:4282
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