ダイエット注意報 | 作成日 2003/12/11 |
神経管欠損症と受胎前後の糖類摂取およびGIとの関連 |
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このバージョン: https://www.nutritio.net/kiban2/ronbun/ntd.htm
最新バージョン: https://www.nutritio.net/kiban2/ronbun/ntd.htm
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このドキュメントについて: 米国臨床栄養学雑誌78巻に掲載された、カリフォルニア先天異常監視プログラムのシャーらによる、神経管欠損症の危険因子についての論文(1)を紹介します。
?.はじめに
神経管欠損症リスク(NTDs)と葉酸の摂取が関係していることは一般に知られている*が、メチオニン(3;シャーら(1)の引用文献;以下同様)、亜鉛(4)、ビタミンC(5)、乳製品(6)、甘いものの摂取(12)や、母体が糖尿病(7)、肥満(8?10)、高インスリン血症(11)であることなどの危険因子も報告されている。さらに、スクロース(ショ糖)とグリセミック・インデックス(GI)の高い食事がNTDsリスクと関連しているという研究結果が、米国臨床栄養学雑誌の2003年11月号で発表されたので、その詳細を紹介する。
?.単糖類とGIのNTDsへの影響
カリフォルニア先天異常監視プログラムのシャーら(1)は、糖尿病、肥満、高インスリン血症、甘いものの摂取がNTDsリスクを高めるという先行研究を受けて、受胎前後におけるスクロース、グルコース、フラクトース、およびGIの高い食品の摂取がNTDs発症リスクを高めるという仮説を立て、それについての検証を行った。
分析には、カリフォルニア州の人口をベースとしたケース・コントロール研究のデータが用いられた。カリフォルニア州全ての病院における、1989年6月から1991年5月の出産および死産件数708,129件のうち、ケース613件、コントロール611件が抽出された。
母親と面接を行ったのは、ケース538件(87.8%)、コントロール539件(88.2%)で、行った時期はそれぞれ出産後平均4.9ヶ月目と4.6ヶ月目であった。病歴、妊娠歴、受胎前後(受胎前後3ヶ月、計6ヶ月)のライフスタイルが聞き出された。また、ブロックら(14)による100品目の食物摂取頻度調査票を用いて栄養摂取の評価も行われたが、データが分析可能だったのは916件(ケース454件、コントロール462件)だった。ケースのうち、177件が無脳症、256件が二分脊椎、残りの21件はその他の症状だった。さらに、グルコース、フラクトース、およびスクロースの摂取量について、メイヤー-デイヴィス(シャーら(1)の引用文献18の著者)によって提供された指標を用いて、食物摂取頻度調査の結果より推定された。また、同結果より、摂取した食物の平均GI値が推定された。
この平均GI値の換算は、ウォルヴァーら(23)によって提唱される以下の計算式から求められた。
平均GI = [(各食物1単位に含まれる炭水化物の合計)
× (一日に摂取する特定の食物の平均単位数)
× (特定の食物のGI) の総和 ]
÷ (一日の総炭水化物摂取量)
その結果、NTDsを合併した妊娠リスクに対し、受胎前後のグルコースとフラクトースの摂取は影響しないが、スクロースとGI値の高い食品の摂取によってNTDsリスクが約2倍になるという結果が得られた。体重、身長、教育レベル、人種・民族、受胎前後のビタミン摂取量、葉酸摂取、エネルギー摂取量の影響を取り除いても、スクロースの影響はみられた。グルコースとフラクトースの影響はなく、スクロースだけがNTDsリスクを上げる理由はわかっていない。GI値の影響については、エネルギー摂取量の影響だけを除いた場合はBMIが29以下のグループでも29より大きいグループでもNTDsリスクが上がる結果が得られたのだが、人種・民族、ビタミン、エネルギー摂取量、葉酸摂取の影響を除いた場合、BMIが29より大きい場合のみ影響がみられ、危険率は約4倍になるという結果だった。
これまでに、妊娠中のBMIの増加とNTDsリスクの増加に関連があるという報告(8?10)や、糖尿病でない女性のBMI増加とグルコース濃度の増加に関連があるという報告(37)が発表されている。また糖尿病女性でNTDsリスクが高いこと(7)、高インスリン血症患者でNTDsの出産リスクが高いこと(11)も報告されている。これらの先行研究とシャーらが得た結果から、シャーらは、糖尿病でない女性も含め、潜在的な血糖コントロールの問題がNTDsリスクと関連しているという考えを支持している。
* 神経管欠損症と葉酸の関連については、栄養研の葉酸のページをご参照ください。
引用文献:
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