ダイエットと基礎代謝量の関係などについて

論文などでダイエットをしている人の身体計測値をみると、体重の減少と同時に基礎代謝量も低下する例が多いようです。

体重当りの基礎代謝量（基礎代謝基準値）も一般的には低下しているようですが、ときには増加している例もみられます。

基礎代謝量と基礎代謝基準値の関係や、基礎代謝量が増加していることの意味、ダイエットの評価に基礎代謝量基準値を使うことができるかなどについて、お教えください。

ご指摘の点は、非常に重要な問題だと思います。

基礎代謝量と体重との間には、比較的強い相関がみられますが、いわゆる”比例”関係ではなく、関係式には切片がついてきます。

少なくとも国外の主要な推定式は、いずれも、
基礎代謝量＝a + b × 体重
という形になっています（あるいは、年齢や身長などが右辺に加わる場合あり）。

つまり、
・体重が軽い人では、体重当たりの基礎代謝量が大きく、
・体重が重い人では、小さい傾向がみられます。
これは、必ずしも肥満の影響だけではなさそうです。

基礎代謝基準値は、こうした問題点を含んだ簡易指標です。

したがって、ダイエットした場合に、
体重の減少とともに基礎代謝量の減りますが、
「体重当たりの基礎代謝量（kcal/kg/日）」が大きくなることはよくあることではないかと思います。
しかし、これは適切な評価法ではありません。


このような場合、一般には、「体重当たりの基礎代謝量」ではなく、線形モデルで評価すべきであるとされています（Ravussin and Bogardus, Am J Clin Nutri, 1989）。
簡単に言うと、
体重と基礎代謝量の関係式（切片あり）の線に沿っているかどうか」
で、自然な基礎代謝量の減少なのかどうかを判断することになります。

図で書けば簡単なのですが、上の文章だけだとわかりづらいかもしれませんね。


国立健康・栄養研究所
健康増進プログラム
エネルギー代謝プロジェクトリーダー
田中茂穂

早速のご回答、ありがとうございました。

Ravussin and Bogardusの論文に当ってみます。

また不明な点があればご質問させていただければと思います。