薬用植物スクリーニングプロジェクト
1.メンバー
プロジェクトリーダー | 吉松 嘉代 |
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サブプロジェクトリーダー | 渕野 裕之 |
研究員 | 河野 徳昭、松尾 洋孝 |
技術補助員 | 河上 仁美 |
2.研究目的・背景
20世紀はモルヒネなどの例にみられるように植物成分から多くの医薬品が開発されてきましたが、近年創薬手法がゲノム創薬へと大きく変化し、天然物創薬は時代遅れと言われてきました。しかしながら植物が作り出す複雑奇異な骨格の化合物はHTSなどの現代創薬手法に適しており、植物由来天然有機化合物の有用性が再認識されています。
薬用植物スクリーニングプロジェクトでは国内外の植物種のエキスライブラリーを創薬ツールとして提供し、様々な生物活性スクリーニングを行い創薬に繋げることを目的としています。
3.研究内容
近年創薬の手法であるHTSやコンビナトリアルケミストリーなどでは合成化合物の骨格の限界が叫ばれており、奇異な骨格を有する天然有機化合物の重要性が再認識されつつあります。国内では大規模な天然化合物ライブラリーが構築されていますが、クルードなエキスライブラリーに関しては微生物や海洋産物由来に限られ、植物を基原とした大規模ライブラリーの構築は高度な植物鑑定の専門性を必要とするため存在していないのが現状です。医薬基盤・健康・栄養研究所薬用植物資源研究センターは国内3か所に研究拠点を有し、国内の広範囲の植物収集が可能な体制が整っています。
薬用植物スクリーニングプロジェクトにおいては、国内で収集した植物資源のエキスライブラリーをツールとして多くの機関との共同研究による様々な生物活性評価を通じた創薬シーズ探索を行っています。また、本ライブラリーには漢方処方に用いられる生薬も約1000種類ほど含まれています。
植物エキスライブラリーの基盤構築として国内外の植物資源収集を積極的に行っており、現在15,000種類のエキスライブラリーが分譲可能となっています。またライブラリーの付加情報整備として、各エキスのエンドトキシン測定を行っています。また、食品業界等からの要望に対応するため、ライブラリーの基原植物の食薬区分や食歴調査を行いすべてのエキスに情報として紐づけしています。ヒットエキスから活性化合物の同定方法として、LC/MSの多変量解析による高効率な化合物の分離精製技術および化合物解明手法の確立を目指しています。 現在までにこのライブラリーからは、超多剤耐性結核菌に対して有効な薬物の探索、抗HCV活性を有する化合物の解明や、変形性膝関節症に対して有効なシダ成分の解明などが行われました。
*本エキスライブラリーを利用の場合、事前に共同研究契約または使用許諾契約の締結が別途必要なため、ご興味のある方はご相談ください。またエキスの分譲内容、量によっては多少お時間を頂く場合がございます。
薬用植物スクリーニングプロジェクト
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