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NMR施設について

1. 概要

独立行政法人医薬基盤研究所(以下「基盤研」)はこの度、たんぱく質などの生体高分子等の構造や性質を調べるための分析装置として、高磁場(800MHz)核磁気共鳴(NMR)施設を開設します。(開設日:平成20年3月7日)

この施設は基盤研における各種研究プロジェクトにおいて使用するとともに、外部の製薬企業等の利用も受入れ、医薬品開発の促進を図っていきます。

核磁気共鳴(NMR)施設の外部利用について

2. NMRとは

核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)とは、超伝導磁石などの強力な磁場発生装置中に置いた試料に対して電磁波を照射すると、試料中の原子核がその特性に基づいてエネルギーを吸収、放出する現象(共鳴現象)のことです。

この現象を利用することにより、分子構造について詳細な情報を得ることができます。例えば、たんぱく質や核酸などの生体高分子や、有機化合物等の構造を同定することができます。

たんぱく質の構造解析に用いられるX線結晶構造解析法では、たんぱく質を結晶化する必要がありますが、NMR法は溶液の状態で測定できるため、結晶化が困難 なたんぱく質の解析が可能であるとともに、動的な立体構造情報が得られる優れた特徴を有します。また、薬剤候補化合物の迅速な検索が可能であり、医薬品開 発等に大いに貢献する手法の一つです。

3. NMR施設の概要

  • NMR棟:RC造2F 延床面積:199m2
  • 装置名:AVANCEII800US2型

構成内訳

本装置は次の部分から構成されます。

  1. 超伝導磁石
  2. クーリング装置
  3. 分光計
  4. 高感度クライオNMR検出システム
  5. クライオFIT LC-NMR-MSシステム
  6. オートサンプルチェンジャー
  7. コンピュータシステム
  8. 超安定型温度可変装置
  9. コンプレッサ
  10. 液体窒素再凝縮装置

主なスペック

  1. 共鳴周波数:800.13MH&
  2. LC-MSシステム(測定質量範囲:50?2200m/z及び200~4000m/z)
  3. 分光計
  4. 検出器(5mmlH観測13C、15N照射三重共鳴超高感度プローブ)
    度1H(0.1%EB):7600:1以上 13C(ASTM):700:1以上

外観・NMR装置

NMRシステム構成

4.基盤研のNMR施設の特徴・優位性

  1. 超高磁場(800MHz)、超高感度検出器により医薬品開発に必要な高分子量の疾患関連たんぱく質等の測定が可能
  2. 日本で初めて800MHzNMRとLC(液体クロマトグラフィ)及びMS(質量分析器)とがオンラインで接続され、ケミカルバイオロジー分野などの解析にも効果が発揮される
  3. 世界で初めて800MHzNMRとオートサンプルチェンジャー(試料自動注入装置)が一体となり、多試料の連続自動測定が可能
  4. 強固な地盤のうえにNMR施設が設置され、安定した測定が可能

5.外部利用について

本NMR施設は外部からの利用も受け入れます。詳細については、核磁気共鳴(NMR)施設の外部利用についてをご覧下さい。

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