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お知らせ

(独)医薬基盤研究所と(株)リプロセルとの共同開発により 世界初のヒトiPS細胞から分化誘導した肝臓細胞の製品化に成功

2011年12月15日

 独立行政法人医薬基盤研究所(以下「基盤研」という。)(大阪府茨木市)では、平成20年度にスーパー特区研究として採択された「ヒトiPS細胞を用いた新規in vitro 毒性評価系の構築(研究代表者:水口裕之 基盤研 幹細胞制御プロジェクト チーフプロジェクトリーダー、大阪大学大学院薬学研究科教授併任)」について、京都大学をはじめ多くの研究機関・企業と連携しながら、ヒトiPS細胞の創薬応用研究を推進してまいりました。
 この度、ヒトiPS細胞の分化のなかでも、創薬応用に最も重要と言われている肝臓細胞への分化誘導に水口らの研究チームが成功し、実用化に向けてバイオベンチャーである株式会社リプロセル(横浜市港北区)と共同開発を行い、この度、世界初のヒトiPS細胞由来の肝臓細胞として市販されることとなりましたので、お知らせします。(平成24年4月からの発売に向けて、平成24年1月よりサンプル出荷の予定)

【研究の概要】
 新薬開発の過程で、しばしば問題となるのが薬物誘発性肝障害(肝毒性)ですが、医薬品の開発プロセスの早期に肝毒性を確度良く予測することは、創薬コストの削減・開発期間の短縮・創薬シーズのヒット率の向上をもたらし、我が国の基幹産業のひとつである製薬産業の国際競争力向上に繋がることが期待されます。
 現在の開発プロセスにおいては、ヒト初代培養肝細胞の利用により肝毒性評価を実施しているものの、我が国においては入手が困難なため、その全量を輸入に依存している状況にあります。安定供給及び継続性の観点からその利用には限界があるため、より安定かつ容易に使用できる肝毒性評価系の確立が望まれていました。
 基盤研 幹細胞制御プロジェクトを中心とする研究チームは、独自に開発した遺伝子導入技術(改良型アデノウイルスベクター)を駆使して、細胞分化に必要な遺伝子を分化ステージに応じて順次導入していくことで、iPS 細胞から肝細胞への効率の良い分化誘導法(通常1~3割の分化効率が8~9割になる。)の開発に成功しました。
 本技術を用いて分化誘導した肝細胞は、初代培養ヒト肝細胞と同等の薬物代謝酵素活性を示すことが判明しており、簡便かつ形質が安定した新規細胞評価系の基盤が整備され、新薬開発研究段階での毒性評価試験や薬物動態試験への応用が期待されます。

【製品の特徴】
 本技術を用いて製品化されたiPS細胞由来肝細胞は、現在製薬企業で使用されている初代培養ヒト肝細胞と同等の薬物代謝酵素活性を示すなど、これまでにない高いレベルの技術であり、毒性評価試験や薬物動態試験への早期の応用が期待されます。

                     照会先:独立行政法人医薬基盤研究所 戦略企画部 
                          電話:072-641-9832
                        :株式会社リプロセル 正井   
                          電話:045-475-3887

 ※参考資料(pdf)
  

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