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お知らせ

ヘルペスのワクチン、治療薬の開発につながるT細胞で強力に働くヒトヘルペスウイルス6前初期遺伝子プロモーターを同定しました!!

2011年1月20日

 独立行政法人医薬基盤研究所(以下「基盤研」という。)感染制御プロジェクトの森 康子チーフプロジェクトリーダー(兼任:神戸大学大学院医学研究科教授)らの研究チームは、ヒトヘルペスウイルス6の前初期遺伝子プロモーターを同定し、その研究成果がこの度、「Matsuura et al."Virology Journal" 2011」に掲載されましたので、お知らせします。

■論文タイトル: Human herpesvirus 6 major immediate early promoter has strong activity in T cells and is useful for heterologous gene expression. [PubMed]

■著者: Masaaki Matsuura, MasayaTakemoto, Koichi Yamanishi and Yasuko Mori

【概 要】
 ヒトヘルペスウイルス(HHV)には8種類ありますが、突発性発疹を引き起こすヒトヘルペスウイルス-6(HHV-6)は、最近、脳症、脳炎や薬剤過敏症症候群発症に関与するウイルスとして注目されています。
 HHV-6の遺伝子発現に関する分子機構を解明することは、ヒトヘルペスウイルスによる感染や発症を防御する治療薬を開発するうえで重要な情報となります。
 HHV-6は、サイトメガロウイルス(CMV)と同じβヘルペスウイルスファミリーに属し、特にTリンパ球系の細胞に感染し、増殖します。
 現在市販されているCMVプロモーターはCMVの感染直後に発現される主要前初期 (major immediate early :MIE ) 遺伝子(IE1)の発現を制御していますが、HHV-6においてもCMV IE1のpositional homolog によってHHV-6のIE1がコードされています。
 今回、森らの研究チームは、HHV-6 MIE遺伝子の上流971-bpが、下流の遺伝子を転写させるプロモーター活性をもつことを見出し、HHV-6 MIE プロモーター(HHV-6 MIEp)と命名しました。
 新たに同定されたHHV-6プロモーターは、現在、市販されているCMVプロモーターと同等なプロモーター活性を示しますが、特にT細胞において強いプロモーター活性を示すという特徴があります。このことから、本プロモーターを用いることによってT細胞系での遺伝子発現機構をより詳細に解析できると考えています。
 基盤研では今後このプロモーターの下流に様々な遺伝子を発現させてその遺伝子の機能を解明するとともに、遺伝子発現用のプロモーターとして用いることによってワクチンや治療薬の開発に繋げたいと考えています。

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 上記HHV-6 MIEpをクローニングし、ルシフェラーセレポーターアッセイにて、CMV MIEpとプロモーター活性の比較を行いました。
 その結果、HHV-6 MIEpは、数種のT細胞株においてCMV MIEpよりも高い活性を示しました。

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 さらに、イントロン1領域まで延長したプロモーターは大幅な活性上昇が認められました。

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