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お知らせ

ナノシリカの新規DDSキャリアとしての特性を解明

2010年11月10日

 独立行政法人医薬基盤研究所バイオ創薬プロジェクト チーフプロジェクトリーダー堤 康央(兼 大阪大学大学院薬学研究科 教授)らの研究チームは、数十ナノメートル径のシリカ(ナノシリカ)が、皮膚や鼻粘膜、腸管粘膜を透過すること、さらにリンパ節や脳、胎仔に移行しうることなど、薬物キャリアとして興味深い特性を示すことを見出し、それが11月8日の日本経済新聞に報道されましたのでお知らせします。

 バイオ創薬プロジェクトと大阪大学大学院薬学研究科毒性学分野は、近年、ナノテクノロジーの進歩により応用が拡大しつつある百ナノメートル以下の粒径の物質(ナノマテリアル)の体内動態および安全性に関する共同研究を実施しています。
 当プロジェクトでは主に、医薬品や食品、化粧品添加物として既に実用化されているナノシリカに着目し、培養細胞やマウスを用いて細胞内・生体内動態を解析してきました。
 その結果、ナノシリカが、従来のマイクロメートルサイズのシリカとは大きく異なる挙動を示すこと、即ち、ナノシリカは皮膚や鼻粘膜、腸管粘膜から吸収され、その後、リンパ節や肝臓に分布することが明らかとなりました。
 さらに興味深いことに、体内に侵入したナノシリカは、脳や胎盤、胎仔にまで分布しうることを見出しました。本知見は、ナノシリカを薬物キャリアとして応用すれば、通常、薬物を送達することが極めて困難な組織に、必要な薬物を送達可能な新規DDS(薬物送達システム)になりうることが期待されます。
 今後、ナノシリカや種々のナノマテリアルの詳細な体内動態を解析すると同時に、安全性の評価も行うことで、新規DDSとしての応用を試みていく予定です。


※↓画像をクリックすると拡大画像を表示します。
ナノ2.jpg

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