VIIIその他

1.対面助言

対面助言は、国内で実施される治験及びその他承認申請に必要な資料等について、総合機構が指導、助言を行うもので、医薬品に関しては、@治験相談、A事前評価相談、Bファーマコゲノミクス・バイオマーカー相談、医療機器については、治験相談及び簡易相談があります。また、厚生労働大臣が指定した希少疾病用医薬品又は希少疾病用医療機器及びその他医療上特にその必要性が高いと認められる医薬品に対しては優先対面助言が行われます。このうち、主なものについて表6に示しますが、詳しくは総合機構のホームページを参照してください。さらに、平成21年からは、ベンチャー企業に対して、薬事相談を通じて承認申請業務を支援するベンチャー支援相談が実施されており、ベンチャー企業が萌芽的技術をビジネスにつなげるための相談として利用できるようになりました(「独立行政法人医薬品医療機器総合機構が行うベンチャー支援相談について」(H21.6.1 薬機発0601001))。

表6 総合機構の行う各種相談

対面助言区分 内容 相談例
1.手続相談 承認申請のための臨床試験に関する手続き等に関する関連諸法令、通知等に基づき指導及び助言を行う(データ評価は該当せず)。 ・治験を開始するために必要な手続き
・治験計画届に添付が必要な資料の種類
2.生物学的同等性試験相談 申請区分の判断や生物学的同等性試験の評価等のようにデータ評価に関する案件の指導及び助言 ・国内製剤と海外製剤の処方が異なる場合の海外データ利用に際しての留意点
・剤型追加に係る医薬品に該当するのか後発医薬品に該当するのか判断
・生物学的同等性試験の評価項目の妥当性
生物学的同等性試験成績を踏まえ生物学的に同等と判断する妥当性
3.安全性相談 薬物動態、薬理、毒性等の非臨床試験に関する事項に特化した初めての相談に対する指導及び助言。品質と安全性に特化した初めての相談も含む。 ・発がん性を疑わせる動物実験の評価
・新添加物の安全性評価
4.品質相談 治験薬の規格・試験方法、安定性等の品質に関する事項に特化した初めての相談に対する指導及び助言。 ・バイオテクノロジー応用医薬品の規格・試験方法
・コンパラビリティー
・徐放性製剤、キット製剤など特殊製剤の規格・試験方法
5.第T相試験開始前相談 初めて薬物を人に適用することの妥当性、第T相試験デザイン等について、それまでに得られている種々の試験情報、海外承認状況、類似薬の情報等に基づいた初めての相談に対する指導及び助言。 ・治験薬を人に適用する前に実施しておくべき非臨床試験の種類・内容
・第T相試験における開始用量及び用量の増加の方法(抗悪性腫瘍剤を含む)
・外国で行われた第T相試験データの利用可能性
・インフォームドコンセント用説明文書の妥当性
6.前期第U相試験開始前相談 前期第U相試験の実施計画に特化した相談について、第T相試験成績の情報に基づく指導及び助言。 ・患者における薬物動態試験で用いるパラメータ設定の妥当性
7.後期第U相試験開始前相談 臨床推奨用量が決定されるまでの段階で、それまでに得られている種々の試験情報、海外承認状況、類似薬の情報等に基づいた初めての相談に対する指導及び助言。(前期第U相試験開始前であっても、後期第U相試験デザインが含まれる場合も本区分となる) ・第U相試験における治験薬の選択
・患者に対するインフォームドコンセント用説明文書の妥当性
8.第U相試験終了後相談 臨床推奨用量の決定後の段階において、それまでに実施された臨床試験結果、類似薬の情報に基づき、第V相試験の試験デザイン等について行う指導及び助言 ・用量反応データの評価、臨床推奨用量の妥当性
・第V相試験における対照薬・エンドポイントの選定、結果の統計処理方法
・比較試験以外に行う必要のある試験
・インフォームドコンセント用説明文書の妥当性
9.申請前相談 申請資料のまとめ方、資料の十分性等について、それまでの臨床試験結果に基づき行う初めての相談に対する指導及び助言。 ・総括報告書、資料概要の作成方法
・承認申請の根拠となりえる臨床試験データが得られているかどうか
医療機器・体外診断用医薬品治験前相談 医療機器・体外診断用医薬品について、その治験デザインの妥当性、治験の要否等データの評価を伴う案件についての指導及び助言 ・治験デザインの妥当性
・治験の要否
・非臨床試験の計画
・試験方法の妥当性

出典:「独立行政法人医薬品医療機器総合機構が行う対面助言、証明確認調査等の実施要領について」(H21.3.31薬機発第0331004号)

2.知的財産について

企業との共同研究においては知的財産は重要事項であり、既に学会発表や論文などで公知になったものは原則として特許が認められません。以下特許を申請するにあたっての要点を説明します。なお、特許については大学の知財本部などと充分な連携や相談が必要と思われます。

(1)特許要件について

などです。したがって、特許出願に当たっては、十分な先行技術の調査が必要であり、また、出願後も定期的な調査が必要です。調査は特許庁ホームページでの検索も可能です。

(2)実験ノートについて
信頼性確保及び発明者の権利の確保といった観点から、アイデアやデータの記録・確認・保管は確実になされなければなりません。記載にあたっては、以下の内容が客観的に確認・立証しうるようなものになっている必要があります。


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