2022.8.29
, EurekAlert より:
腸内の組織に常駐する白血球の一種が、感染に迅速に対処するためのエネルギー源としてブドウ糖を使用していることが明らかに。健全な免疫応答のためにはバランスの取れた食生活が大切なようだ。ポルトガル・リスボン大学分子医学研究所の動物実験から。
腸内に存在する白血球のうち、組織常駐リンパ球と呼ばれる免疫細胞の一種には、糖をエネルギー源として使用 し、血液中を循環するリンパ球よりも代謝が速いことが発見された。
感染時には、腸内で糖が局所的に利用できることが免疫応答に役立ち、宿主による感染の迅速な解決に影響を与える可能性があり、健康な免疫応答のためにバランスの取れた食事をとることの重要性が強調されている。
リンパ球は血管内を循環する「見張り役」として知られているが、組織にずっと「住んでいる」特別なグループが存在する。これらの細胞が適切に機能するためには、環境に適応することが重要だ。この研究では、腸壁に住む特定のリンパ球グループが、自らの代謝を腸壁組織に適応させることを発見した。
「循環するリンパ球はその生涯のほとんどを、エネルギーが利用しやすいリンパ節で過ごします。リンパ節はまるでお弁当で一杯になっているかのようです。これらのリンパ球は常にエネルギーで満たされ、リンパ節を出て体内を循環するときにお弁当を持って出かけることさえできるのです。」と研究責任者のベルドホーエン氏は説明する。
しかし、組織に住むリンパ球は、同量のエネルギーを利用できない。「これらの細胞は常に半活性化状態にあり、感染などの課題に対処する準備ができています。これらの常駐リンパ球は、腸内の環境に適応し、ブドウ糖の利用可能性に応じて活動を調節できることがわかりました」。
研究グループは、ブドウ糖が感染に対する免疫反応に関与しているかどうかを調べるために、腸感染モデルマウスを用いた。「腸内病原体に感染したマウスでは、ブドウ糖の局所的な利用可能性が常在リンパ球の活性化を決定し、感染のより迅速な排除の決め手になることがわかりました」と研究の筆頭著者であるコンジャー氏は説明している。
出典は『国立科学アカデミー論文集』。 (論文要旨)
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