2022.7.19
, EurekAlert より:
定期的に運動する社会経済的背景の低い人々は、慢性腎臓病のリスクを大幅に減らすことができるようだ、という英国ブリストル大学からの研究報告。
社会経済的背景が低い人々は慢性腎臓病のリスクが高いが、高い体力レベルが慢性腎臓病に対する低い社会経済的状態の影響を減らすことができるかどうかは不明である。研究チームは、3つの質問に答えようとしたという。
●低い社会経済的状態は慢性腎臓病のリスクの増加と関連しているか? ●高い体力レベルは慢性腎臓病のリスクの低下と関連しているか? ●高い体力レベルは、慢性腎臓病に対する低い社会経済的状態の影響を打ち消すことができるか?
研究チームは、腎臓病の病歴のない42-61歳の男性2,099人を集め、自己記入式の質問票を使用して、収入、教育、職業、生活水準、住居の状態に基づいて社会経済的地位を評価した。体力レベルは、自転車エルゴメーターの運動テストを使用して評価された。
その後、参加者は慢性腎臓病の発症について20年間にわたって追跡された。
データ解析の結果、社会経済的地位が低い男性は慢性腎臓病のリスクが高く、体力レベルが高い男性は慢性腎臓病のリスクが低いことが示された。慢性腎臓病のリスクは、社会経済的地位が低く、体力レベルが低い人で大幅に増加した。しかし、社会経済的地位が低く、体力レベルが高い人にはリスクが存在しないようにみえたという。
これは、定期的な身体活動および/または運動が病気のリスクを減らすことができるという実質的なエビデンスであるという。この研究の結果は、定期的に運動する社会経済的背景の低い人々が慢性腎臓病のリスクを大幅に減らすことができることを示唆している。身体活動は多くの健康上のアウトカムを保護することができるが、ほとんどの人が推奨される身体活動のガイドラインを満たしていないことが広く報告されている。
「身体活動のメリットは広く知られているにもかかわらず、世界的にみても定期的に運動する人はきわめてすくないのが現状です。年齢、性別、障害の有無、社会経済的背景に関係なく、すべての集団で身体活動への参加を促進するためにさらなる行動が必要です」と筆頭著者のセトール・クヌストール博士はコメントしている。
出典は『米国医学雑誌』。 (論文要旨)
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