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[病気]  糖尿病新治療のカギに?画期的な発見
2022.6.23 , EurekAlert より:   記事の難易度 1
  

血糖コントロールに有益なFAHFAと呼ばれる脂質の、体内での生成メカニズムが初めて明らかになった。この画期的な発見により、1型・2型両方の糖尿病治療に新たな道が開ける可能性があるという。米ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターの研究。

世界保健機関によると、世界中で約4億2200万人が糖尿病を患っており、糖尿病が直接的な死因となるのは毎年150万人にものぼる。

糖尿病には数種類あるが、そのうち1型糖尿病は、膵臓のインスリン産生細胞が損傷し、インスリンを産生しなくなった慢性疾患。また最も多いタイプである2型糖尿病は、体がインスリンに反応しにくくなることで発症する。いずれも血糖値が上昇し、治療によって制御できない場合、心臓、血管、目、腎臓、神経に深刻な損傷を与える可能性がある。糖尿病患者の命を守る薬や装置が開発されたものの、依然多くの患者が血糖コントロールの不良に苦しんでおり、合併症のリスクが高くなっている。

今回、FAHFAと呼ばれる新しい種類の脂質の合成における重要な酵素が特定された。これは、人間の組織で作られ、インスリン感受性、血糖値、ヒトおよびマウスにおけるその他の代謝関連パラメーターに有益な効果をもたらす。この発見は、1型および2型糖尿病の潜在的な新しい治療法への扉を開くかもしれない。

「長期的な目標は、1型糖尿病患者の、インスリン産生をする膵臓のβ細胞を安全に置き換えることですが、これには、免疫系による攻撃からこれらの細胞を保護する方法が必要です」と、研究グループのカーン博士は述べている。「これらFAHFA脂質が、免疫攻撃や代謝ストレスからβ細胞を保護することを示しました。FAHFAレベルを上げることができれば、1型糖尿病と2型糖尿病の両方に有益であると考えています。私たちの新しい発見は、これらの脂質が哺乳類の組織でどのように作られるかを初めて知ったため、画期的なものです。」

2014年、カーン博士らのグループはFAHFA(ヒドロキシ脂肪酸の脂肪酸エステルの略)と名付けられた脂質を新たに発見した。ヒトでは、FAHFAレベルはインスリンに対する感受性と関連している。FAHFAは、2型糖尿病のモデルである肥満の糖尿病マウスの血糖コントロールを改善し、炎症誘発性免疫応答を低下させ、マウスの1型糖尿病の発症率を低下させる。これらの脂質はまた、インスリンを作るヒトの細胞(膵島β細胞として知られている)を免疫細胞による攻撃や細胞ストレスから保護する。さらに、これらの脂質のレベルは、2型糖尿病のリスクの高い人や2型糖尿病患者の血清および脂肪組織では低いこともわかった。

今回の研究では、脂肪トリグリセリドリパーゼ(ATGL)と呼ばれる酵素がFAHFAを生合成する上で重要な役割を果たしていることを確認した。

肥満かつインスリン抵抗性のある人は、痩せた人や肥満だがインスリン抵抗性のない人に比べて白色脂肪組織のATGLレベルが低い。このことから研究グループではATGLがインスリン抵抗性のある人のFAHFAの減少に寄与する可能性があり、ゆえに2型糖尿病のリスクまたは重症度につながると考えているという。

出典は『ネイチャー』。 (論文要旨)      
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