2022.6.23
, EurekAlert より:
フルクトースの代謝物であるグリセリン酸がインスリン産生細胞を障害して糖尿病リスクを高めるようだ、という米国テラサキ生物医学創発研究所によるマウスを用いた動物実験の報告。
高脂肪・高砂糖食を与えられたマウスの実験で、フルクトース代謝が高まり、大量のフルクトース代謝中間体(グリセリン酸)が小腸で生成して血液中に放出されることが確認された。
研究チームがD-グリセリン酸尿症の患者を調べた結果、血中のグリセリン酸濃度が異常に高く、これは糖尿病の独立した顕著なリスク因子であることが明らかになった。
そこで、研究チームがマウスにグリセリン酸を投与するとグルコース障害が起こり、これはインスリン抵抗性の上昇ではなく血中インスリン濃度の低下によるものであることを発見した。
グリセリン酸を投与されたマウスの膵島細胞ではインスリン産生β細胞の死滅が確認された。
以上のことから、フルクトースの大量摂取をもたらす西洋型食事による、長期にわたるグリセリン酸への体内曝露は、膵島細胞の損傷と糖尿病発症のリスクを高めることが示唆された。
「これらのプロセスを理解することで、糖尿病などのますます蔓延している疾患に対して、より的を絞った個別化された治療法を開発することもできるだろう」と研究者はコメントしている。
出典は『細胞代謝作用』。 (論文要旨)
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