2022.4.20
, EurekAlert より:
メチオニンを制限することで、悪性の小児脳腫瘍の予後を改善できるかもしれない、という米国ピッツバーグ大学からの研究報告。
脳腫瘍の中には治療が容易なものとそうでないものがある。びまん性正中神経膠腫(DMG)の治療は困難であり、DMG腫瘍と診断された子供の予後は通常1年未満である。
今回研究チームは、 DMG腫瘍が必須アミノ酸のひとつであるメチオニンに独自に依存していることを発見した。インビトロの実験でDMG腫瘍の培地から栄養素をひとつずつ除去して、成長への影響を観察した。そして、メチオニンを除去することで、腫瘍細胞の成長が劇的に抑制されることを発見したという。
研究者らはまた、メチオニンを多くの細胞機能に不可欠な他の成分に変換することに関与する重要な酵素を取り除くと、腫瘍細胞の成長が妨げられ、DMG腫瘍のあるマウスの生存率が高まることを示した。別の実験で、病気のマウスにメチオニン制限食を与えた場合、平均余命はほぼ50%増加した。
「これらの腫瘍のアキレス腱は、それらが急速に成長し、多くの栄養素を使用していることです」と主任研究者のサミール・アグニホトリ助教授は述べている。「代謝アプローチ(食事の変化)を次世代の科学的ツールと組み合わせることは、腫瘍細胞の栄養素の必要性が正常細胞とどのように異なるかについての私たちの理解を活用する方法になり、将来、より効果的な個別のがん治療につながる可能性があります。」
出典は『ネイチャーがん』。 (論文要旨)
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