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[病気]  軽度の飲酒が心臓に良いという理論に異議
2022.3.31 , EurekAlert より:   記事の難易度 1
  

軽度の飲酒が心血管系の健康利益をもたらすことはないかもしれない、という米国ハーバード大学などからの研究報告。

研究チームは、英国バイオバンク(大規模な生物医学データベース、および詳細な遺伝情報と健康情報を含む研究リソース)の参加者で、平均年齢57歳、平均アルコール摂取量週9.2杯の成人371,463人のデータを解析した。

研究チームは、先行研究と同様に、軽い飲酒者から中程度の飲酒者が心臓病のリスクが最も低く、飲酒しない人々がそれに続くことを発見したという。大量に飲んだ人が最もリスクが高かった。

ところが、研究チームはまた、軽い飲酒者から中程度の飲酒者は、身体活動や野菜の摂取量が多く、喫煙が少ないなど、非飲酒者よりも健康的なライフスタイルを持っている傾向があることも発見した。わずかな生活習慣要因を考慮に入れると、アルコール摂取に関連する利益が大幅に減少することがわかったという。

本研究ではまた、メンデルランダム化と呼ばれる方法に最新のテクニックが適用されているという。メンデルランダム化は、曝露とアウトカムの間に観察された関連が因果関係であるかどうかを遺伝子変異を利用して決定する方法で、この場合には、軽度の飲酒が個人の心血管系疾患に対する保護効果の原因であるかどうかを明らかにする。「今回は、『非線形メンデルランダム化』におけるより新しく進んだテクニックによって、ヒト遺伝データを用いて異なるレベルの曝露に関連した疾病リスクの方向と大きさを評価することができました」と主任研究者のクリシュナ・G・アラガム医師は語っている。「そこで私たちは、これらの新しい技術とバイオバンク集団からの広範な遺伝的および表現型データを活用して、習慣的なアルコール摂取と心血管疾患との関連をよりよく理解しました。」

研究チームが、参加者から採取したサンプルのこのような遺伝子分析を行った結果、より高いアルコール摂取量を予測した遺伝的変異を持つ個人は、実際に大量のアルコールを摂取する可能性が高く、高血圧と冠状動脈疾患を患う可能性が高いことを発見したという。分析はまた、男女共に、アルコール摂取量の違いによってもたらされる心血管リスクには、実質的な違いがあることを明らかにした。週に0杯から7杯に増加するときのリスクの増加は最小限であり、週に7杯から14杯に増加するときのリスクははるかに高かった。そして、1週間に21杯以上のアルコールを飲む場合のリスクは特に高かった。調査結果は、米国農務省の国内ガイドラインによって「低リスク」と見なされたレベル(男性1日2杯未満、女性1日1杯未満)でも心血管リスクの上昇を示唆している。

アルコール摂取量と心血管リスクの関係が線形ではなく指数関数的であるという発見は、Mass General Brigham Biobankの30,716人の参加者に関するデータの追加分析によって裏付けられた。したがって、アルコール摂取量を削減することは、1日に1杯のアルコール飲料を飲む人々にも利益をもたらす可能性があるが、削減することによる健康上の利益は、より多くを消費する人々にとってより実質的であり、おそらくより臨床的に意味がある。

「この調査結果は、心血管の健康を改善するためにアルコール摂取を推奨すべきではないことを確認しています。むしろ、アルコール摂取量を減らすことは、すべての個人の心血管リスクを減らす可能性があります。現在の摂取レベルに応じて程度は異なりますが」とアラガム医師はコメントしている。

出典は『JAMAネットワークオープン』。 (論文要旨)      
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