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[栄養]  野菜を食べることは心血管疾患を予防しない?
2022.3.1 , EurekAlert より:   記事の難易度 1
  

野菜が豊富な食事は、心血管系疾患(CVD)のリスクを下げないかもしれない、という英国オックスフォード大学などからの研究報告。

カロテノイドやα-トコフェロールなどの成分はCVDから保護できる特性を持っているため、野菜の摂取がCVDのリスクを低下させる可能性があることは一見もっともらしいように思われる。けれども、これまでのところ、CVDに対する野菜摂取の全体的な影響に関する先行研究のエビデンスは一貫していなかった、と研究チームは述べている。

今回新たに発表された研究結果は、調理済みまたは未調理の野菜のより高い摂取がCVDのリスクに影響を与える可能性が低いことを示している。また、交絡因子が、これまでの疑わしいと思えるポジティブな知見をいかにして導いたのかについても説明している。

「英国バイオバンクは、遺伝学と環境が最も一般的で致命的な病気の発症にどのように寄与するかについての大規模な前向き研究です。ここでは、私たちは英国バイオバンクの大きな標本サイズ、長期の追跡調査、および社会的および生活習慣の因子に関する詳細な情報を利用して、野菜摂取とその後のCVDのリスクとの関連をしっかり評価しました」と英国バイオバンクの主任科学者で共著者のひとりであるナオミ・アレン教授は述べている。

英国バイオバンクは、英国の50万人の成人の健康状態を、彼らの医療記録にリンクすることで追跡している。2006年から2010年に登録したボランティアは、食事、生活習慣、既往歴、妊娠歴、およびその他の因子について聞き取り調査を受けた。

今回研究チームは、399,586人の参加者(うち4.5%がCVDを発症)の登録時の回答を使用して、未調理野菜と調理野菜の1日平均摂取量について検討した。そして、心筋梗塞、脳卒中、または主要なCVDによる、入院または死亡のリスクとの関連を分析した。その際、社会経済的地位、身体活動、およびその他の食事因子を含む、考えられるさまざまな交絡因子を考慮した。

重要な問題として、研究チームは「残留交絡」の潜在的な役割、つまり、未知の追加因子または既知の因子の不正確な測定が、CVDリスクと野菜摂取の間の疑わしい統計的関連につながる可能性があるかどうかも評価した。

参加者の野菜、生野菜、調理野菜の1日の平均摂取量は、各々1人あたり山盛り大さじ5.0、2.3、2.8だった。CVDによる死亡リスクは、野菜の摂取量が最も少ない人と比較して、摂取量が最も多い人で約15%低かった。しかし、この明らかな効果は、社会経済的、栄養学的、医学的に関連する可能性のある交絡因子を考慮に入れると、大幅に弱まったという。これらの因子を調整すると、CVDに対する野菜摂取量の予測統計的検出力が80%以上低下した。これは、これらの交絡因子のより正確な測定が野菜摂取量の残留効果を説明することを示唆するという。

筆頭著者のキ・フェン博士は、次のように述べている。「私たちの大規模研究はCVDの発症に対する野菜摂取の保護効果のエビデンスを発見しませんでした。代わりに、私たちの分析は、CVDリスクに対する野菜摂取の見かけ上の保護効果は、社会経済的状況と生活習慣の違いに関連する残留交絡因子からのバイアスによって説明される可能性が非常に高いことを示しています。」

博士らは、CVDリスクに影響を及ぼす特別な種類の野菜または調理法が存在するかどうかは将来の研究をまたねばならない、としている。

最終著者のベン・レイシ―准教授は、次のようにまとめた。「これはCVDに関連する食事因子と少ない野菜摂取がCVDに寄与していることの理解を進めるうえで含みをもった重要な研究です。けれども、食事バランスと健康な体重維持は健康維持とがんを含めた疾病リスクの低減において依然重要な一部です。種々の果物と野菜の1日最低5ポーションの摂取は広く推奨されています。」

出典は『栄養学の最前線』。 (論文要旨)      
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