2021.11.12
, EurekAlert より:
一人で食べることは高齢女性の狭心症リスクの増加に寄与するかもしれない、という韓国カトリック大学校などからの研究報告。
女性が年をとるにつれて、主に血管機能を調節するエストロゲンのレベルが低下するため、心血管疾患(CVD)のリスクは男性を上回る。その結果、多くの研究がさまざまなリスク要因に焦点を合わせてきた。
CVDの発生率を減らすための全体的な取り組みの一環として、健康的な食生活に対する意識が高まっている。しかし、これまでの研究では、食事をする仲間を持つことの重要性はほとんど見過ごされてきたという。最近の社会の変化は、これまで以上に多くの人々が一人で食事をしていることを示唆している。
一人で食べる人が増えるにつれ、健康への懸念が高まっている。先行研究では、一人で食べる頻度が高いほど、腹部肥満と血圧上昇のリスクが高いことが報告されている。一人で食べると、人々はより速く食べる傾向があり、それはしばしばボディマス指数、胴囲、血圧、および血中脂質レベルの増加につながる。
一人で食べることはメンタルヘルスにも影響を与える可能性があり、これはCVDのリスクの増加とも関連しているという。これらの調査結果は、一人で食べることが高齢女性の心血管疾患の危険因子であることを示唆しているが、一人で食べることと心血管疾患の有病率との関係を調査した研究はほとんどない。
研究チームは、2016年の韓国国民健康・栄養調査VII-1のデータから、65歳以上の閉経期女性590名の横断的データを解析した。1日2食以上を一人で食べる者を孤食群、2食以上を複数で食べるものを共食群とした。
解析の結果、孤食群は共食群に比べて、栄養表示への気付き、利用、インパクトが低かった。またエネルギー、炭水化物、食物繊維、ナトリウム、カリウムの摂取が低かった。狭心症のリスクが2.58倍高かった。
「この研究は、一人で食べる高齢女性が症候性の心臓病を患う可能性が高いことを示している。彼女らはまた、未亡人になる可能性が高く、収入が少なく、栄養摂取量が少ない可能性がある。社会経済的地位の低下と社会的孤立が生活の質の低下、うつ病の発生率の上昇、健康状態の悪化に寄与することを考えると、これらの結果は驚くべきことではない。女性は男性よりも長生きすることを考えると、社会的に孤立している高齢女性が有意義な社会的つながりを築き上げる方法を見つけることは、栄養だけでなく全体的な健康も改善すると同時に、医療費を削減する可能性がある」と北米更年期学会医学部長のステファニー・ファビオン医師はコメントしている。
出典は『更年期』。 (論文要旨)
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