2021.9.7
, EurekAlert より:
試験管で隔離された孤独なショウジョウバエは、わずか約1週間の社会的孤立の後、睡眠が過剰に低下し、エサを過剰に摂取するようになった、という米国ロックフェラー大学遺伝学研究所からの研究報告。
集団からの慢性的な分離がどのように遺伝子発現、神経活動、およびハエの行動の変化につながるかを説明する調査結果は、孤独に対する体の生物学的反応を研究するための最初の堅牢な動物モデルの1つを提供するものだという。
研究チームは、さまざまなロックダウン条件下に置かれたハエの運命を観察した。7日後、さまざまなサイズのグループで収容されたハエには異常行動はみられなかった。群衆から切り離された2匹のハエでも、特に問題はなかったという。
ところが、1匹だけで完全に隔離されると、孤立したハエはより多く食べ、より少なく眠り始めた。
さらなる調査により、飢餓に関連する遺伝子のグループが孤独なハエの脳で異なって発現されていることが明らかになった。
その後研究チームは、P2ニューロンとして知られる脳細胞の小さなグループが睡眠と摂食行動の観察された変化に関与していることを発見した。慢性的に隔離されたハエのP2ニューロンをシャットダウンすると、過食が抑制され、睡眠が回復した。グループから隔離されたハエのP2ニューロンを1日だけブーストすると、まるで丸1週間一人でいるかのように食べて眠ったという。
「P2ニューロンは、社会的孤立の時間の長さの知覚に関連し、ひとりでいる長さのカウントダウンタイマーのような働きをしているようだ」と研究者はコメントしている。
出典は『ネイチャー』。 (論文要旨)
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