2021.8.19
, EurekAlert より:
65歳前後における運動機能の低下は、死亡リスクの上昇に関連するようだ、という仏パリ大学などからの研究報告。立ち上がりや着衣の困難など衰退が進む兆候は死の10年前でも現れるという。
運動機能が、年齢とともに低下することはよく知られているが、低下率は人によって大きく異なる。これまでの研究によると、認知(精神)昨日の低下は死の15年前までに現れる可能性があるが、同じことが身体能力にも当てはまるかどうかは明らかではなかったという。
そこで今回研究チームは、65歳前後におけるいくつかの運動機能と、その後10年間にわたる死亡率との関連について検討した。
研究チームは、社会的、行動的、生物学的要因が長期的な健康に与える影響を調べるために1985-88年に35-55歳の参加者を募集したホワイトホールII研究の6,000人以上の参加者データを解析した。
2007年から2016年の間に、参加者は最大3回運動機能評価を受けた。これらには、歩行速度、椅子からの立ち上がり時間、握力の測定値に加えて、着替え、トイレの使用、料理、食料品の買い物などの日常生活動作における、自己申告の機能と困難さの測定値が含まれていた。
その後、あらゆる原因による死亡が2019年10月まで記録された。
関連要因を調整後、研究チームは、歩行速度、握力、立ち上り時間の低下が、それぞれ死亡リスクの22%、15%、14%の上昇に関連していることを発見した。日常生活動作の困難は、死亡リスクの30%の上昇と関連していた。
この関連は、評価年齢が高まるほど強くなったという。
追跡期間中に死亡した参加者は、死亡しなかった参加者に比べて、死の10年前に立ち上がり時間が長く、7年前に自己申告による機能低下を申告し、4年前に日常生活動作のより多くの困難を訴える傾向がみられた。
研究チームは、本研究が観察研究であるため、原因を特定することはできないなど、いくつかの制限事項を指摘している。
出典は『英国医学雑誌(BMJ)』。 (論文要旨)
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