2021.6.15
, EurekAlert より:
家事を手伝わない「協調性のない」既婚男性は、家事に大きな役割を果たしている夫よりも多くの給料を家に持ち帰る傾向がある、という米国ノートルダム大学からの研究報告。
この新しい調査によると、異性婚をしている「協調性のない」男性は家事の助けにならないことで、仕事により多くのリソースを費やすことができ、結果として給与が高くなるのだという。
現代心理学では、「協調性」は人間の性格を説明するために使用される「ビッグファイブ」の次元の1つである。それは一般的に、温かく、同情的で、親切で協力的な人を指す。協調性のない人は、これらの特徴を示す傾向がなく、彼らはより利己的で競争力がある傾向がある。
「2つの研究を通して、協調性のない男性は、より利己的であり家庭であまり妻の役に立たないため、それゆえ、より多くの仕事への関与が可能になり、最終的にはより高い給料を貰えるために、より協調的な男性に比べてより多くのお金を稼ぐ傾向があるという証拠が見つかった」と筆頭研究者のブリタニー・ソロモンは述べている。「この効果は、妻がより伝統的な性別役割の態度を持つ協調性のない男性の間では、さらに強くなる。特に妻が非常に良心的である場合には、おそらく妻がより多くの家事を引き受け、よりシームレスに責任を果たすからである」
本研究は、そうした男性が、家庭でより多くの時間とエネルギーを節約できるので、仕事により多くのリソースを割け、多く稼げることを示唆している。けれども、研究チームは、協調性のなさは、より平等主義的な男性、妻がより良心的でない男性、あるいは異性婚でない男性の場合にはキャリアの成功を予見しないことを発見した。
「職場での協調性のなさは、ある種の従業員を成功に導くが、より多くの給料を得ることを希望する男性は、職場での協調性に欠ける人格を示す前に躊躇すべきであろう」とソロモンは言う。「実際、利己的で共同的でない職場行動だけが高給のカギであるのなら、協調性のない男性は、結婚していなくても、ジェンダーロールをどう見ていても、だれと結婚していても、より多く稼ぐ傾向があるだろう。」
先行研究によると、協調性のなさは、経済的な成功を予測し(特に男性の場合)、この関連性は職場の行動に起因する。しかし、協調性のなさが協力や向社会的行動などの大切な職場の行動と負の関係にあることを考えると、この効果は依然として不可解である。対照的に、研究チームは、男性の協調性のなさは、特に配偶者との家庭での不均衡な社会的交換を考慮することによってさらに理解できると理論付けている。
「我々の調査結果は、組織が協調性のない職場行動に報いるようであり、職場での成功のために家庭での社会的交換の重要性を強調しているように見えるという従来の知識に基づいている」とソロモンは言う。
「我々の調査が示唆しているのは、組織が配偶者交換の個人の成功に果たす役割を認識することで、家庭を犠牲にして仕事をする努力について見直す可能性があるということだ。そうすることで、従業員は彼らの仕事に投資できるリソースを確保できる。」
「たぶん、この種のイニシアチブは、協調性がない既婚男性以外のすべての人にとって特に有益だろう。仕事と給料を促進するように家庭ができていない人々を助けるために、組織は、より高給なキャリアへの競争の場を確立するのに役立つインフラストラクチャへの投資を検討するかもしれない。」
それらには、ボーナスのような仕事に焦点を当てた伝統的なインセンティブだけでなく、家事サービスとメンテナンスのための評判の良いプロバイダーのリスト、確立した育児プログラム、事前審査された介護者、または従業員への宅配便の設置などの非仕事リソースの提供が含まれる場合がある、とソロモンは述べている。
「従業員を仕事の外でより公平に配置する慣行は、より多くの従業員に成功する機会を提供するかもしれない」とソロモンは言う。
「また、一部の調査によると、男性はフレックスを利用することで汚名を着せられている。組織文化を変えることは、結婚やパートナーシップ内で、誰のキャリアを優先すべきか、誰がより多くのことをすべきかについての計算に影響を与える可能性がある。そうなれば、組織はまた、ジェンダーの多様性と包摂を促進することを目的としたイニシアチブ、特に高所得の地位における男性の支配を減らすための努力を支援するのを助けることになるのだ」
出典は『人事心理学』。 (論文要旨)
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