2021.1.27
, EurekAlert より:
深い睡眠には老廃物を取り除く太古から備わる回復力が伴っているかもしれない、という米国ノースウェスタン大学からのショウジョウバエを用いた実験報告。
「一般的に老廃物の除去は脳の健康を維持するために、または神経変性疾患を予防するために重要である可能性がある」と主任研究者のラビ・アラダ博士は語っている。「老廃物の除去は、覚醒中、睡眠中にも起きている可能性があるが、深い睡眠中にはそれが大幅に強化される。」
ショウジョウバエはヒトとは非常に異なっているように見えるが、ハエの睡眠と覚醒のサイクルを支配するニューロンは、我々のものと非常に似ている。このため、ミバエは睡眠、概日リズム、神経変性疾患のモデル生物としてよく研究されている。
今回の研究では、アラダら研究チームは、ハエの深い睡眠段階である口吻延長睡眠(PES)を調べた。これは、ヒトの深い徐波睡眠に似ているという。研究チームは、この段階で、ハエが口吻(または鼻)を繰り返し伸ばしたり縮めたりすることを発見した。
「このポンピング動作により、体液がハエの腎臓に相当するものに移動する可能性がある」とアラダ博士は述べている。「我々の研究は、これが老廃物の除去を促進し、怪我の回復を助けることを示している。」
ハエの深い睡眠を妨害すると、ハエは注入された代謝不可能な染料を体内から取り除くことができなくなり、外傷を負いやすくなったという。
アラダ博士によると、この研究により、すべての生物が睡眠を必要とする理由の謎をより深く理解できるようになる。すべての動物、特に野生の動物は、眠っているときに非常に脆弱である。けれども、重要な老廃物の除去を含む睡眠の利点が、この脆弱性の増大を上回っていることが示唆されているという。
「深い睡眠がハエの老廃物除去に役割を果たすという私たちの発見は、老廃物除去が睡眠の進化的に保存されたコア機能であることを示している」と研究チームはまとめている。
出典は『サイエンスアドバンス』。 (論文要旨)
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