2021.1.8
, EurekAlert より:
肥満と加齢、テロメア長、そして代謝性疾患の間には関連がみられるようだ、という米国テキサス大学ヒューストン健康科学センターからの研究報告。
テロメアは、染色体の末端で保護キャップとして機能し、細胞分裂中の複製エラーを防ぐ働きがあるという。染色体が自身を複製するたびにテロメアは短くなる。テロメアが短くなり過ぎると、細胞は染色体を安全に複製することができなくなって停止する。テロメアの短縮は加齢プロセスや変性疾患の発症に関連しているといわれている。
過剰な摂食や肥満が、細胞の老化とどのように関連しているかは、不明な部分が多い。研究チームは、過剰な摂食が、過剰な幹細胞の増殖とテロメアの短縮を引き起こし、脂肪細胞の早期老化と組織機能不全につながる、という仮説を立てた。
テロメアの短縮は、テロメラーゼという酵素によって防御されているが、研究チームは、脂肪細胞になる幹細胞中でこのテロメラーゼが不活性化されたマウスを遺伝子操作によって作り出した。
予想通り、このマウスは脂肪組織で複製老化を起こし、それは高カロリー食によってさらに促進され、2型糖尿病の発症につながったという。
この知見をヒトにおいて確認するために、研究チームが、肥満外科手術を受けた患者の生検サンプルを分析したところ、外科手術による減量効果により抵抗性を示し、また代謝障害がみられた患者ではより短いテロメアが観察されたという。
これらの結果は、加齢と肥満を誘発する食事、そして代謝性疾患の間にあるメカニズムについての新たな洞察をもたらすものである、と研究チームはまとめている。
出典は『ネイチャー代謝』。 (論文要旨)
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