2021.1.6
, EurekAlert より:
ビタミンDは健康な骨の形成に役立つことで知られるほか、筋力を高める可能性も示されているが、サプリメントによって摂り過ぎると、高齢者の転倒リスクが高まってしまうという。米・ジョンズホプキンズ大学の研究。
「高用量(摂取)は利点がありませんが、潜在的な危害の兆候はいくつもあるのです」と筆頭著者のアペル教授。共同研究者のモリナ教授は「多くの人は、少量でも役立つが多量の方がよりよいと考えているのです。しかし、一部のビタミンについては、高用量のサプリメントは利益より多くのリスクをもたらします。高用量のビタミンDは転倒のリスクと深刻度を高める可能性があります」。
予備研究では、ビタミンDが筋力を高め、バランスを改善する可能性があることが示されている。アペル教授は、STURDY(転倒の減少とビタミンDを理解するための研究)と呼ばれる自身の研究で、ビタミンDサプリメントの投与量が2,000および4,000 IU /日という高用量の場合、米国で割り合い一般的な、サプリメントによるビタミンD服用量である1,000 IU /日と比べて転倒のリスクを高めるようであったという。また、1,000IU /日以上の方が200IU /日よりも深刻な転倒や転倒による入院例が多かった。
本試験は2段階で行った。まず第1段階として、参加者(70歳以上)は、ビタミンDの4つの用量(200 IU /日(対照量)、1,000 IU /日、2,000 IU /日、および4,000 IU /日)のいずれかに割り当てた。3つの高用量群の転倒率を比較すると、1,000 IU /日群は、2,000 IU /日および4,000IU /日群よりも転倒率が低かった。そのため、1000 IU /日を、確認段階とも呼ばれる第2段階で試験する用量とした。
確認段階では、高用量群(1,000 IU /日)と対照群(200 IU /日)との転倒率を比較したところ、1,000 IU /日群の方が200IU /日群よりも転倒率が高いことを発見した。
アペル教授は、高齢者が転倒リスクとビタミンDレベルについて医師と話し合い、ビタミンDサプリメントを服用し続けるかどうかを決めることを勧めている。
出典は『内科学年報』。 (論文要旨)
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