2020.9.23
, EurekAlert より:
乳幼児期に乳糖を消化するヒトの能力は、わずか数千年の間に中央ヨーロッパ全体に広がったようだ、という独ヨハネスグーテンベルク大学マインツなどの研究報告。
研究チームは、紀元前1200年ごろに、ドイツ北部のトレンゼ川の土手で戦闘に巻き込まれた人間の骨から遺伝子を抽出して分析した。
その結果、彼らのうちの約8人に1人だけが乳汁中の乳糖を分解できる遺伝子変異を持っていることを発見したという。
現在、同じ地域に住んでいる人口の約90%が乳糖耐性(ラクターゼ活性持続症)を持っている。わずか120世代を大きくは超えない遺伝の連鎖のなかで、これは極めて大きな変化であるといえるだろう、と共同研究者のヨアヒム・ブルガー教授は語っている。
「これら青銅器時代の人々と今日の人々の違いを説明する唯一の方法は、非常に強力な自然淘汰である」と研究に主導的な役割を果たしたスイス・フリブール大学のダニエル・ウェーグマン教授は強調する。「過去3000年にわたって、乳糖耐性のある個人にはより多くの子供がいたか、あるいはこれら子供は、そうでない子供に比べてより生存の可能性が高かったのだろう。」
「各世代において、ラクターゼ持続症の個体は、非ラクターゼ持続症の個体よりも生殖年齢まで生存する可能性が6%高かった」とブルガー教授は付け加えている。
出典は『最新生物学』。 (論文要旨)
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